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旧暦:3月10日 赤口 壬 
まちからむらから
2011年10月1日(土)23:00

2頭の獅子が守る集落/上区自治会(下北集落)

農業と畜産盛んに


 サズガー、ウッザンミ、ザラツキ、ナカグミ、ユナバリの5集落は、1892年、平良の下里村の添え村として行政分離され下里添村となった。その際、村分けの祝いとして下里の主が村の守護神である2頭の獅子を下里添村に贈った。その後、下里添村では、感謝を込めて旧暦8月15日の中秋の名月に豊年祭を催し、獅子舞いをブンミャー御嶽(下里添神社)で行う習わしとなった。


 その後、下里添村は1921年には分字して「上区」(上区部落)、「下区」(花切部落)となり、55年ごろから「下北部落」「下南部落」と呼ばれるようになった。下北部落は、城辺町のころ連続20年間、農事奨励賞を受けるなどの純農村地帯。近年ではサトウキビ栽培を始め、和牛生産、施設園芸、葉タバコ耕作など、発展を遂げた。92年に100周年を迎え、公民館入口に記念の石碑を建立し、記念誌発刊や記念植樹、牛の審査場などを整備した。

 宮国武自治会長は「現在、世帯数は164戸。着実に高齢化が進んでいる中で最近、若者たちのUターンが増えている。彼らが安定した農業を営むためには、ふるさとの景観は多少変わるが、土地整備事業を増やすことも考えている」と話し、若者たちとの特産品作りにも力を入れていきたいと意気込む。

上区の獅子舞い 1990年、旧城辺町の無形民俗文化財に指定され、2005年市指定に。獅子頭は過去、火災や老朽化で使用不能になり、現在使われているのは3代目にあたる。


豊年祭で地域が一つに/獅子舞いに舞台演舞など


豊年祭を前に、ブンミャー御嶽(下里添神社)で祈願。手前は玉串奉納に使われる植物

豊年祭を前に、ブンミャー御嶽(下里添神社)で祈願。手前は玉串奉納に使われる植物

 十五夜祭(旧暦8月15日)に、ブンミャー御嶽(下里添神社)のある上区自治会構造改善センター広場で行われた「豊年祭と共進会」は、台風の影響で不安定な天気にもかかわらず、多くの住民が参加して、年一回の祭りを楽しんだ。この日は、御嶽に奉納された2頭の獅子と、設けられた祭壇に自治会役員や上区獅子舞い保存会(与那覇敏一会長、40人)の会員らがお祓い、祝詞、玉串奉納を行い、最後は全員で豊年祭の成功を祈った。


伝統の上区獅子舞いを支える保存会。後列右端が与那覇敏一会長

伝統の上区獅子舞いを支える保存会。後列右端が与那覇敏一会長

 鎮守の森に待機した2頭の獅子は、ホラ貝や鉦の音で広場におびき寄せられ、保存会の巻き踊りによって眠りから覚めた。そこを2人のアラスグナ(あおる役)の誘いで勇壮に舞い、村の厄を払った。獅子は、住民の繁栄や豊作の守護神としても崇められており、会場は、騒然とした中にも厳かな雰囲気に包まれていた。 共進会では、農作物や畜産に関して優秀な成績を収めた農家に宮古島市やJA宮古地区本部、宮古製糖株式会社、宮古郡農業共済組合から表彰状や副賞が贈られた。宮国武自治会長は「今日は互いに絆を深め合う大切な日、この集いの中から将来の繁栄の種が芽生え、大木となって大きなユー(富)をもたらすだろう。豊年祭を通して世代を超えた交流が広がり、地域の発展に結び付くことを祈念する」とあいさつした。

 乾杯の音頭が続く中、舞台では子ども会や老人クラブの余興も次々と披露され、参加した住民は和やかな豊年祭を楽しんでいた。

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