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ペン遊・ペン楽
2011年11月9日(水)23:13

宇宙の中にいて/仲地 清成

2011.11.10 ペン遊ペン楽

 

 私たちは、想像を超えた存在の宇宙の中にいるが、原子や分子のミクロの世界や、銀河などのマクロの世界のスケールをなかなか実感できない。それで、宇宙の構造をいくらかでも実感したいと思い簡単な計算を試みた。


 そのひとつ、結論として「一滴の涙は地球を覆う」。

 水の1モル(18グラム)は6×10の23乗個の水の分子からなることをもとに計算すると、一滴の涙の中の分子数は縦、横1ミリ間隔に並べて、半径6400キロの地球全体の表面を覆うことができる。

 また、水の分子をつくる原子の質量のほとんどは原子核に集中しているが、それは東京ドームの中心に置かれた1個のボールのように小さい。原子も分子も、したがって物体も隙間だらけである。見方によっては、ヒトは透明人間に近い。

 もうひとつの結論「地球がゴルフボールの大きさに圧縮されるとするとブラックホールになる」。

 仮に地球が圧縮されると、地球の重心と物体との距離が短くなり、引力が強くなり、圧縮が進むと最も速い光(光子)さえも脱出できなくなる。その状態は半径9ミリ以下に圧縮されるときに起こる。このような超高密度の状態が宇宙には存在するから不思議である。

 「宇宙の大きさを求めよ。ただし、宇宙の年齢は137億年である」。ノーベル賞受賞者の益川教授が高校生のクイズに出題した問題である。

 ビッグバン時に光が発生して、それが届いている全体が宇宙の大きさであるから、宇宙は137億年×光の速さの半径を持つ大きさとなる。

 その(宇宙の地平線の)向こう側は原理的に観測が不可能である。

 宇宙の形については、「ポアンカレ予想」がある。その証明は、世界の数学者が100年かかって解けなかった懸賞つきの難問であったが、2006年ロシアの数学者ペレルマンが解決した。

 しかし彼は数学のノーベル賞とも言われるフィールズ賞も賞金(懸賞金)100万ドルも辞退して、母親と2人ひっそり暮らしているという。

 「自分の証明が正しかったら、それだけでいい」と彼は言う。

 宇宙は私たちの想像を超えて奥が深く神秘的である。そして宇宙は人間において自らを認識するに至った。そして人は、文化の名において新たな「宇宙」を創造し続けている。

 『20億光年の孤独』(谷川俊太郎)はうたう。

 万有引力とは
 ひき合う孤独の力である

 宇宙はひずんでいる
 それ故みんなはもとめ合う
 

 宇宙はどんどん膨らんでゆく
 それ故みんなは不安である
(宮古ペンクラブ会員)

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