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まちからむらから
2012年8月25日(土)22:42

宮古島市総合博物館友の会と交流/多良間文化協会

手作り料理と芸能でもてなす



普天間御嶽で垣花さんの説明に耳を傾ける博物館友の会のメンバー

普天間御嶽で垣花さんの説明に耳を傾ける博物館友の会のメンバー

 600年前の歴史が色濃く残る多良間村(下地昌明村長)は、豊かな自然と芸能、生活文化を併せ持つ貴重な島。2011年には村(多良間島・水納島)全体が県立自然公園に指定された。中でも多良間島は島の外周に沿って植物群落が分布、白い砂浜やリング状のリーフが一体となって独特の景観を醸す。また、県の文化財に指定された「抱護林」は、仲筋宮良区の郊外トゥカパナ山を起点に塩川の白嶺山を終点として長さ1・8㎞あり、村落を抱き護る緑の帯となる。1976年に国指定文化財となった

2日間に渡って交流した博物館友の会と多良間文化協会の会員=7月28日、高穴公園(宮古市の森)

2日間に渡って交流した博物館友の会と多良間文化協会の会員=7月28日、高穴公園(宮古市の森)

「多良間の豊年祭」(八月御願)は、旧暦8月8日から3日間行われる島の一大民俗芸能。今年は9月23日から行われる。来年は村制100周年を迎える。


 1987年発足した多良間文化協会。発足当初から会長を務めてきた元教育長の本村恵眞さんが5年前勇退し、現在、池城三千雄会長を中心に役員も若返り、活動も活発になった。7月28日夕、村中央公民館で宮古島市総合博物館友の会の皆さん16人を迎えて交流会を開いた。会員らの釣果によってテーブルには大皿の刺身が並び、女性会員による手料理、舞台演芸など手作りのもてなしとなった。翌29日は水納島の見える高穴公園(宮古市の森)でソーキソバを振る舞い、楽しい交流会となった。

 同会は、方言かるたの制作を進める中で貴重な島言葉を残そうとする活動を始め、芸能の島にあって今月25日には「第11回シュンカニ大会」が開催された。池城会長は「10年ほど中断していたが、これからオリンピックの年に開こうということになった」と話す。島を代表する芸能グループ「群星」は1982年に発足し、村のさまざまな行事に花を添える。この日も6人のメンバーが舞台で数々の歌を披露した。10月には東北のチャリティー公演に出演する。

 島は9月23日から始まる「八月踊り」に向けて動き出した。10月には、字塩川の芸能が国立劇場おきなわで披露される予定。

島の歴史と自然の深さに感嘆/宮古島市総合博物館友の会
ふるさと民俗学習館の垣花さん案内


普天間桟橋の北方にある砂浜に真保那璃の枕石(手前)

普天間桟橋の北方にある砂浜に真保那璃の枕石(手前)

 島の生き字引、垣花昇一さんの案内で二日間、37カ所を巡った「多良間島歴史の旅」。初日は島の外周にある史跡を巡った。最初に訪れたのはフタツガー遺跡。農道を割り込むようにバスを走らせた多良間文化協会の比嘉英秀さん。既に崩落の危険が迫っている遺跡は、普段住民も寄りつかない。

 1976年に建立された「報恩之碑」は、姉妹都市として交流を始めるきっかけとなった岩手県宮古市との歴史にあった。1859年、高穴海岸付近で座礁した岩手県の商船善宝丸の乗組員を島民が救済したという文献が見つかったことによる。2003年、新空港が開港したことで、旧飛行場は現在原野になっている。その片隅に建つ「ランパート滑走路」記念碑は、雑木の中に碑面だけを表していた。アメリカの統治下にできた滑走路で当時の高等弁務官の名が付いた。

 この後、真保那璃の墓といわれる「フタッジウガム」、普天間御嶽、航海安全を祈願する「イビの拝所」、多良間シュンカニの歌碑とウェーンマ像、オランダ商船遭難の地、金志川豊見親の香炉があったとされる大岩の「アラダトゥヌ・コール」、女傑砂川のオーガマ・クイガマを埋葬したとされる「パイヌジヌコール」などを訪ねた。

 600年前の石工技術示す記念物として重要な「ナガシガー」、明和の津波の名残といわれる「ヌツタスキ トゥンバラ」、おきなわの名木に選定された多良間小学校のセンダン、塩川のフシャトガー、塩川御嶽、運城御嶽、宮古遠見台、泊御嶽、嶺間御嶽などを巡った。

 翌日は、最も古いとされるシュガーガーや塩川の八月踊りが行われる「ピトゥマタウガン」、集落内源河家の裏にあるマブナリヌコール、1700年代、真言宗の僧・心海が居住して修業しながら島民たちを教導したと伝えられる寺山の遺跡、アマガー、土原豊見親のミャーカ、多良間神社、1500年代騒乱時代の勇者・金志川金盛を供養したといわれるウツバルウガム、スツウプナカの祭事が行われるシュレーウガム、津波伝説のあるブナジェーウガム、八重山の遠見台などを巡った。

 参加した友の会員は、ハードなスケジュールの中、島の歴史と自然の深さに感嘆の声を上げていた。

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