高江洲 由樹子さん(30歳)/音楽教師
音楽をスポーツ感覚で
7人の打ち鳴らすスネアドラム(小太鼓)の音が、まるで会話をするように次々と波打つ。高まる緊張感の中で高揚する奏者たち。それをじっと見つめる指導者の目は一つの音の狂いも見逃さない。勤務する中学校で今年4月から「ドラム部」を結成した。昨年12月の沖縄県中学校総合文化祭でドラムパフォーマンスに出場したのがきっかけだった。最近はいろんな催しにひっぱりだことなった。
指導するのは、音楽教師の高江洲さん。手を叩く、足を鳴らす、体から出る音を組み合わせて音楽にする、その魅力に取りつかれてボディーパーカッションのとりこになったのは大学に入ってから。小学校のころはマーチングバンドでトランペットやリコーダーを担当していた。中学校でブラスバンドの打楽器を担当したことで次第にその方向に傾倒していく。「演奏がコミュニケーションにつながるのが面白い」とその魅力を語る。
昨年3月まで神奈川県に住み、音楽仲間6人で公演を中心とする音楽活動を続けてきた。「小・中・高校での公演、行政区、ライオンズクラブ、ディナーショーなど、声が掛かるところはどこへでも行った。マリンバ、ドラム、シンバル、チャイム、タンバリンなどパーカッションを中心にみんなで曲作りに励んだ。昨年3月に宮古に帰り、4月からは福嶺中・砂川中で音楽の非常勤講師として学校現場へ。今年4月から常勤で福嶺中に配属となった。
全校生徒17人の中学校。その中の7人が部員。「体を動かしながら音を作っていく運動に近い音楽。小規模校でややもすると引っ込み思案になる生徒もおり、パーカッションで表現力を身に付けていくことは自信にもつながる。最近は部活にも積極的になり、イメージも高まってきた。特に舞台などで聴衆から拍手をいただいた時の充実感、達成感は表情に表れる」と話し、多くの人たちの導きによって、この学校で生徒たちに音楽を教えることの喜びを「感謝」という言葉で結んだ。
高江洲 由樹子(たかえす・ゆきこ)1981年11月15日生まれ。宮古高校卒。在学中、全国リコーダーコンクールで金賞受賞。洗足学園音楽大学卒。岡田知之、クリストファー・ハーディ、藤井むつ子、十鳥勉の各氏に師事。「T・J・P・P・A・L」に所属、クラシックから前衛音楽など幅広い演奏活動を行う。現在、福嶺中学校勤務。
(佐渡山政子)