生活保護について(2)/下地 徹
私見公論 53
一、生活保護基準(金額)の沿革
ア、マーケット・バスケット方式(昭和25年~35年)、マーケットに行ってバスケットを持って一日に必要とする品物を購入し、その金額で生活保護の基準額を決める方式。
イ、エンゲル方式(ドイツの統計学者の法則)(昭和36年~39年)・日本人の健康な成人の一日に必要なカロリーは2400カロリーを目安として摂取することと国が決めた。
ウ、格差縮小方式(昭和40年~59年)、東京都の勤労標準世帯の収入の60%を基準にして決めた。
エ、消費水準均衡方式(昭和60年~現在)この基準は固定的なものではなく、国民一般の生活水準の変化に伴い変動する相対的なものであると考え、前年度までの国民の消費水準との調整を行い、国は毎年基準改定を行っている。
二、標準世帯の沿革(生活保護は世帯を単位として基準額を決定する。国民の世帯の動きに伴い世帯の家族構成人員も変動している)
ア、標準5人世帯の家族構成(昭和21年~36年)。64歳男、30歳女、9歳男、5歳女、1歳男。
イ、標準4人世帯の家族構成(昭和40年~59年)35歳男、30歳女、9歳男、4歳女。
ウ、標準3人世帯の家族構成(昭和60年~現在)、33歳男、29歳女、4歳子。
三、基準額を決定するには、大都市・中核都市、地方都市等三区分に分類し、一級地~三級地に分類し基準額を決定している。
ア、一級地(一級地-一)(一級地-二)大都市・区・ならびに政令都市・または大都市近郊の市が該当する。
イ、二級地(二級地-一)(二級地-二)大都近郊の市で一級地に該当しない市、または県庁所在地の市が該当する。
ウ、三級地(三級地-一)(三級地-二)二級地に該当しない市は三級地-一、ちなみに宮古島市は三級地-一、多良間村は三級地-二となっている。
四、加算について
(ア)妊産婦加算(イ)障害者加算(ウ)介護施設入所加算(エ)在宅患者加算(オ)放射線障害者加算(カ)児童養育加算(キ)介護保険料加算(ク)母子加算(ケ)冬季加算、※加算についての国の考え方。加算対象者は地域において弱い立場にあるため、その加算額で地域での生活を乗り越えてほしい。
五、臨時的一般生活費について
(ア)被服費(イ)家具付器費(ウ)移送費(エ)入学準備金(オ)家屋補修費(カ)転居の際の敷金(キ)入浴設備の付設、◎小一、中一入学時の準備金、住居転居時の敷金、古くなった畳の新調、入浴設備は湯沸器等の取り替えである。※生活保護基準額が最低賃金を逆転している等のマスコミ等の報道がありますが、その大きな要因は、加算、臨時的一般生活費を含め級地によって基準額を決定等一般の家庭では考えられないことがある。例・宮古島に暖房費として、11月~3月まで生活保護費と同時に支給されている。※世界に誇れる日本の生活保護制度を悪用する人々がいるため、本当に生活困窮し生活保護を受けている方々のイメージまで悪くしている。(悪用しているタイプ、ア、貧困ビジネス、イ、不正受給 偽造離婚、収入隠し、ウ、認証サギ)
悪用防止対策としては、制度を担う行政において生活保護業務を支える人的体制の整備、量的充足、算的担保、財政的課題等はあると思うが制度構造や運営実施体制の構築が必要である。