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人生雑感
2012年10月31日(水)21:35

聞き上手は、よい人間関係をつくり、幸せな人生を築く土台です

日本親業協会親業インストラクター 福里 盛雄


1 聞き上手とは

 聞き上手とは、相手の話すことを正しく聞いて、正しい反応をすることです。私たち人間は社会的動物だと言われています。人は一人では生きていくことはできません。他人との関係の中で生きることができるのです。「人間」という漢字は、人と人の間と書きます。人間はその本質から考えても、多くの人と交渉関係をつくって生きていきます。社会は、さまざまな思想・心情を持った人の集団であります。そのような人たちと共同生活をしていくためには、お互いの意思を表現し合うコミュニケーションが不可欠であります。


 コミュニケーションの基本は、「話す」ことと「聞く」ことです。特に、聞くことは話すことより2倍のエネルギーを必要とします。なぜならば、人は口は一つで、耳は二つで創造されています。その意味は、人は話すことより聞くことに2倍の努力をするようにということです。

 人の悩みや悲しみを寄り添って最後まで心から聞いてくれる人とのコミュニケーションは、相手の疲れた魂に活気を与え、肉体をも健やかにする蜂蜜のようです。自殺しようとしている人の心からの話に真剣に聞いてくれる人が、その人の側に一人でもいたら、その人は、自殺を思い直して、生きる決断をすれば、その人の内部から生きる希望の光が輝いてくるでしょう。

2 どのようにして、聞き上手な人になることができるでしょうか

 人の話を聞くことは、一つの技術ですから、訓練することにより聞く技術は習得できます。誰でも訓練さえ受ければ、聞き上手な人になることができます。

 例えば、妻が「美容院に行ってきたよ」と話してきたときに、夫が「とってもきれいだね」と反応した場合は、この夫は正しく聞いて正しく反応していて、聞き上手な夫と言われるのです。妻が疲れて一休みして、「あ!元気がでたよ」と言ったとき、夫が「元気そうだね、よかったね」と反応すれば、この夫は聞き上手だと言える。

 夫から何らかの親切な行いを受けた妻が「ありがとうね」と言えば、妻は、夫の行為に対して正しく反応していることになり、心から夫の行為は受け入れられていることになります。

 生まれながらにして聞き上手な人もいます。この人との会話は楽しくて楽しくて、すべていやなことから解放されたような気持ちになり、心底から何でも話したい雰囲気に包まれます。このような人の側には、いろいろな悩みや苦しみを相談に持って来ます。その人と話すだけで問題課題は解決されたような身軽さを感じます。

 このように聞き上手は、私たちの人間関係を正しく豊かにする力を持っています。その反対に人の話を聞くことの下手な人は、話す相手との間にトラブルを引き起こすタイプの人です。

 人間関係はちょっとした言葉のやりとり次第によって良くもなり悪くもなるものです。それも聞き方に多くの要因があるように考えます。相手が話す言葉によって伝えようとしている意味を正確にくみ取り解釈して、それに対して適切な反応を示すように努力する必要があります。

 聞き上手とは、相手の表面的外形的記号である言葉だけを聞くのではなく、その人が伝えようとしている内部の思いを自分の心の耳で聞かなければなりません。そうでないと、耳があっても聞かず、聞く耳のない人と同じ人となる。聞く耳を持っている人との会話は相互の人間関係に明かりを灯し、人間関係を透明にします。透明な人間関係は人に安心感と信頼感を与え、お互いの連帯性と協調性を強め、幸せな人生を築くことができるようになります。それ故に、聞き上手は人生の幸せの土台となる。

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