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インサイドリポート
2013年6月27日(木)22:46

バイオエタノール事業化に前進/プラント再稼働

キビ高付加価値化に期待


再稼働に向け準備が進むプラント=21日、下地のバイオエタノールプラント

再稼働に向け準備が進むプラント=21日、下地のバイオエタノールプラント

 6月は環境月間。宮古島市(旧平良市)が「エコアイランド宣言」をしてから今年の3月で5年がたった。その間、低炭素社会の構築に向けサトウキビの高付加価値化に焦点を当てた「E3燃料実証試験や2010年のメガソーラー竣工、同年から家庭用太陽光発電設置の補助など、様々な取り組みが行われている。


 サトウキビを含む農業環境が今後厳しさを増すことが予想される中、バイオエタノールの生産、残さ液の活用などによる高付加価値化に大きな期待が掛かっている。自然環境に優しい農業に向けて、生産プラントの再稼働で事業化に向けて大きな一歩を踏み出した。

 E3燃料実証試験はバイオエタノールのE3利用に焦点を当て、燃料規格の整備と温暖化対策を2007年度から11年度まで、1府5省庁(内閣府、環境省、国土交通省、経済産業省、農林水産省、総務省消防庁)の連携事業で進めた。

 市はレンタカーのE3利用による観光振興や残さ液の活用による農業振興などで一定の成果を得て、次への段階に進めると期待を大きくしていたが、11年度で実証試験が終了した。

 この実証事業でE3、E10の燃料としての規格の整備や、燃料として使用しても問題がないという「品質管理」も行った。国も法律を変え、E3、E10も燃料として使えるようになったことがこの事業の大きな成果といえる。

 市は国の実証試験終了に伴い、同プラントを使ったバイオエタノール生産の事業化に向け、国、県と話し合いを続けた。低炭素社会の構築という側面もあるが、根底にある島の基幹産業であるサトウキビを生かしていくためにはどうするか。

 環境省から下地上地のプラントを譲り受け、事業として再稼働させる道を探る中で、指定管理者として日本アルコール産業(本社・東京)が名乗りを上げた。

 今年の1月から指定管理者になった日本アルコール産業はこのプラントでバイオエタノールの製造販売、サトウキビの高付加価値化利用の検討調査を進めている。バイオエタノールの製造過程で出る残さ液の研究開発も合わせて行っている。

 さらにバイオエタノールの本格的な生産と、工業用アルコールへの利用の可能性調査を進めている。工業用アルコールは大半が酒の原料になり、消毒薬、カップ麺の防腐剤などにも使われている。

 今後はいかに環境に優しい農業を進めていくかが大きな課題のため、プラントの再稼働による残さ液を利用した液肥の開発やサトウキビの高付加価値化による農業と地域振興などに期待が掛かる。

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