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ペン遊・ペン楽
2013年7月25日(木)9:00

本来の働き/近角 敏通

2013.7.25 ペン遊ペン楽

 週一回、月曜の朝20分、小学校の教室で読み聞かせボランティアをしている。近頃は、6年生にも1年生にも、どの学年にも、「黒い龍白い龍」の話をした。


 宮古島・伊良部島は龍の島といわれる。一説では、「通り池」は世界のすべてを見通す龍の両眼といわれ、近くで息づき再生の場とされる「鍋底」は龍の口のようである。それにつながる下地島の南海岸は渡口の浜まで龍の胴体の形をしている。また、伊良部島北海岸の海洞「大龍門」は古来の壮大な龍の住処のようだ。龍の本来の働きは「天と地をつなぐ」事と言われる。

 「黒い龍白い龍」は中国の民話であり、28年前、横浜の特別支援学校の教員だった時、高2の生徒達と舞台劇にした。原作の民話は村を襲う黒い龍を、村人が白い龍を作って、撃退する話だ。劇は皆で作りながら、次のような話になっていった。〔昔々、村人たちは、日照りの中、働いていた。そこに、巨大な黒い龍が現れた。村人たちは逃げ回り、女たちは龍に追われどこまでも逃げていった。男たちは黒い龍を倒すため白い龍を作りはじめた。一方、龍の洞窟の中、一向に襲ってこない黒い龍と女たちの対話が始まっていた。「実は友達が欲しかったんだ」白い龍が完成!龍の洞窟に迫ってきた。女たちが叫ぶ。「違う違う!本当は優しい龍なんだ!」半信半疑の男たち。眼を合わせ対峙する黒い龍・白い龍!激闘の寸前!女たちが優しく叫ぶ。「おーい龍-おーい龍-」音楽が流れ、二頭の龍が動き始める。唖然とする村人達。「あー龍が踊っているよ!」「よかった!よかった!」「戦わなくてもいいんだ!」「よかった!よかった!」「龍の踊りはきれいだなー」「よかった!よかった!」二頭の龍は村人の方を向き、一礼し、去っていく。「おーい龍-おーい龍-」〕ここまでが28年前の舞台だ。龍は8人で棒で動かす大きなものだった。今でも、この舞台の事は我々の心に深く残っている。

 そして、今、この舞台を読み聞かせで再現していてある事に気がついた。黒い龍は白い龍というパートナーを得て、踊っているうちに、自分の本来の「動き」に目覚めた!それは本来の「働き」!天と地をつなぐ事!その壮大な踊り!天からは大粒の雨が降ってくる!!その恵みの雨が一層村人たちを歓ばせた!「おーい龍-おーい龍-」子どもたちは目を輝かせて話を聴いてくれている。大半の子どもが、原作より劇の話が好きといった。

 今、宮古島市体験滞在交流施設を全面、「本来の働き」=栽培・加工・体験の場として再生する!その担い手として、障害者就労支援事業を取り入れる!それは、その人たちが「本来の働き」に目覚める事でもあるのだ!いい作物!おいしい料理!製品!美しい染め!いい紙!工芸品!美化活動! いろいろな方が「本来の働き」をして、すばらしい交流の場にしていきたい。天地の恵みに感謝し、日本・世界の各地の働きとつながっていきたい!

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