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インサイドリポート
2013年9月15日(日)9:00

継続するか低価格航空運賃(上)

安価運賃・カギ握るSKY/搭乗率低迷も巻き返し狙う


搭乗率の低迷が続くスカイマーク。その継続就航が安価運賃のカギとなっている

搭乗率の低迷が続くスカイマーク。その継続就航が安価運賃のカギとなっている

 2011年9月。これまでの常識を覆すような航空運賃に島民は驚いた。日本トランスオーシャン航空(JTA)と全日空(ANA)の2社で運航していた宮古-那覇路線にスカイマーク(SKY)が参入。宮古-那覇間の片道運賃は最安値で2800円となり、JTA、ANAとも相次いで値下げを敢行。これまでの半額以下の運賃が実現した。現在も同路線は3社による価格競争が展開され、最安値は片道5000円前後となっている。しかし、この価格は3社の競合で実現しているのが現状だが、その構図を形成しているSKYの搭乗率が伸び悩み宮古路線の継続就航を不安視する声が聞こえ始めている。

 ■ 値下げ

 航空運賃の値下げは、石垣-那覇路線でも同様の展開となっている。
 3月の新空港の供用開始後、LCC(ローコストキャリア)の「Peach」、さらに7月からはSKYも参入。安価な航空運賃の実現で入域観光客数は飛躍的に伸び、石垣観光は現在絶好調だ。
 先島における航空運賃は、新規航空会社の参入により価格が下がる構図となっていることで、宮古、八重山地区の住民にとっては低価格運賃を実現させる新規航空会社の参入は大歓迎となった。

 ■ 値上げ

 しかし、低価格運賃の実現から2年が経過した宮古においてはその原点である「3社競合」の構図の継続が危ぶまれ始めている。
 就航後、搭乗率の低空飛行が続くSKYは今年4月から2カ月間の運休となり、その期間JTA、ANAの同区間運賃は一気に跳ね上がった。
 この値上げに対し、宮古島市の下地敏彦市長ら関係機関の代表が「市民に動揺が広がっている」として2社に運賃値上げを踏みとどまるよう要請したが実現しなかった。
 SKYが6月に就航を再開すると運賃は下がったが、SKYの搭乗率は改善されず、低迷する搭乗率に同社の「撤退」を危惧する声も上がり始めた。

 ■ 搭乗率

 SKYの搭乗率は就航時に約6割を確保するも2カ月後には40%台となり、昨年1月以降はほとんどが30%台となった。さらに昨年は7月が28・4%、8月はさらに落ちて23・3%と30%を割り込んだ。
 就航便数の減や2カ月間の運休を踏まえ就航を再開した今年6月の搭乗率も改善は見られず31・4%。同月のJTAが74・5%、ANAが62・5%であることからみても、SKYの搭乗率の低さは際立っている。
 夏休み期間中の7、8月については7月の搭乗率が55・7%、8月が86%と持ち直したが6月の3往復6便から2往復4便に減便された状況下での数値であることから、9月以降の搭乗率を不安視する。 
 搭乗率について、SKYは「なかなか住民の利用が伸びてこない。3回に1回でも良いので利用してほしい。今後も同じ状況で推移すれば宮古路線の運航を続けることも困難になると思う」と話した。

 ■ 生活路線

 搭乗率の低迷が続く中、7月からSKYは同区間を一律5000円に設定。当日購入でも5000円という設定は他の2社の当日購入の価格に対してかなりの割安だ。
 一方で、JTA、ANAとも特割価格を設定し、搭乗日の前日以前に購入すれば3社が競合する時間帯ではSKYの5000円よりも安い運賃を設定している。
 さらに、SKYは繁忙期の8月もこの価格を据え置いて就航。これにより夏休み期間中の宮古-那覇線は全体的に安価な運賃設定となり、利用者には喜ばれた。
 このことについてSKYは「私たちは宮古に就航してまだ2年。何十年もやってきた他社とは歴史、実績でまだまだ。私たちは宮古-那覇路線を住民の『生活路線』と位置付けて普通運賃を5000円に設定し繁忙期も値段は据え置いた。そうした取り組みを通して宮古の人たちにとって当たり前のエアラインになるために努力していきたい」と述べた。
 この航空運賃をめぐっては、今後の宮古島観光にも大きな影響を及ぼすことから、新空港の供用開始と安価な航空運賃で勢いを増す石垣観光を注視しながら、宮古の観光関連機関も危機感を募らせている。

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