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人生雑感
2013年11月27日(水)9:00

心の平安は、幸せな人生を築くために不可欠な要素である

沖縄国際大学名誉教授 福里盛雄


1 心の平安とは、心のどんな状態を言うのでしょうか。

 広辞林によると、心の平安とは、心が無事で穏やかなこと、と説明されています。
 確かに、私たちは物事が自分の願い通りに無事に運んでいるときは、心は満足し、心は穏やかになり、人は平安を感じます。
 しかし、私たちの毎日の生活には、多くの問題課題が発生し、私たちの生活の一寸先にどんな問題が起きるか予測できないのです。そのために、私たちの心は揺れ動き、心は不安に陥り、私たちは心の平安を失ってしまいます。夜の睡眠も十分に取れなくなるのです。

 私たちが、日常生活において心が平安であるためには、問題課題が山積していても、心は平安でなければならないのです。それが本当の平安というものです。
 人が、健康で生きるためには、十分な睡眠をとり、適当な運動を継続し、バランスのよい食事をし、心の平安が必要不可欠だと言われています。心が平安でなければ、先に挙げた三つの要件も十分にその効果を発揮することはできません。この四つを健康の4要素と言っています。心が平安である人は、心身共に健全であり、その人は幸せな生涯・平安な生涯を過ごすことができることになります。
 

2 心が平安を保持していくためには、どのような生き方をすればよいでしょうか。

 心の平安とは、心が無事で穏やかである、と言われていますが、問題課題のない状態の中で生きている人は、一人もいないのです。私たちの社会生活は、問題が波のように消えては、また発生します。このような社会で生きていること自体が、問題課題を詰め込んだ重い袋を、背負って長い人生の坂道を上っていくことに例えることができます。ですから、平安な生涯とは、問題課題のない生涯を言うのではありません。さまざまな問題が起きている中でこそ、心は平安でなければならないのです。心が平安であれば、問題課題に遭遇しても、その問題課題から逃避することなく、全力を集中して、その問題課題を解決していく努力の継続の過程に成長のための大変有益な力となるエネルギー源が隠されていることを知ることができるのです。そして、問題を一つ解決するごとに一段一段と人格的にもその人は魅力を増していきます。
 その問題課題を乗り越えて進んでいけば、必ず平安な生活を築くことが可能であることを確信し、夢と希望を持ち続けることができ、心も平安で満ちあふれます。
 P・ゲルバルトは「たとい今日、あなたの望みのすべてが満たされなかったとしても、ただ静かに忍びなさい。明日の太陽はおそらく、あなたのさらにまされる幸福の門が開けゆくのを見ることでしょう」と言っています(他の文献から引用)。ゲルバルト氏の指摘のように問題課題から、不安と恐れによって逃避するのではなく、その中で耐えて、そこから多くの知識と知恵を学び、次への飛躍の機会に備えるのです。そのような心の平安は、私たちの人間の創造者への信頼から与えられるものです。
 信頼こそ、平安の土台であると言えます。例えば、赤ちゃんが母親のひざの上で、平安な笑みをたたえて眠ることができるのは、母親を絶対的に信頼しているからである。
 私たちは、問題課題が多く、生きる夢も希望もそう簡単には持てない混沌とした社会、明日の見えない不安な社会の中で生活している。今は、心の時代とよく言われますが、そのことは、人々がどうすれば心の平安を取り戻すことができるのか、という心からの叫びでもあります。心の平安こそ健康で幸せな生活を築く土台であると考えます。

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