初のオリジナル創作劇、きょう上演!/ 宮古島市こども劇団
2012年4月に設立された「宮古島市こども劇団」(下地敏彦団長)。演劇を通し人格の形成を図り、社会性を身につけることなどを目指す。また、潜在能力を引き出せるよう支援していくことで子どもたちの心の成長を望むもの。同年8月と翌年3月に立ち上げ公演が行われ、30人余の子どもたちが伸び伸びと、宮古島バージョン「ゆうたっちょの中学生日記」が上演され演劇に対する子どもたちの意識が芽生えた。あれから1年4カ月、第1回オリジナル創作劇「はしり星にのって~あの空となり 海となり」(作・いずみ凜/演出・杉本孝司)が、きょう、マティダ市民劇場で2回公演(午後1時・午後4時開演)、子どもたちの成長ぶりが期待される。
2011年、こども劇団を設立するために表現力ワークショップの開催。小学1年生から高校3年までの対象者。最初約120人が応募した。同時に劇団をサポートする大人のためのワークショップも行われた。翌年劇団設立、団員は50人になる。演劇の基本指導は、演出家の杉本孝司氏(東京芸術座)を中心に、専門家によるダンストレーニング、ボイストレーニングなどが行われてきた。
人頭税の時代にタイムスリップ
立ち上げ公演を体験してきた団員30人は、成長を重ね今回のオリジナル創作劇に挑む。舞台は、現代から人頭税の時代にタイムスリップした子どもたちが、先人たちの暮らしぶりを目の当たりにして、自らのアイデンティティーに目覚めていくというもの。島言葉の「笑(あまい)ゆう人(ぴとぅ)んかいや、手や出(いだ)さいん」や「生(んま)りや一島(ぴとぅすま)、育(すぅだっ)つぁ、百島(むむすま)」など、方言も織り交ぜながら、舞台は進行する。
昔は貴重な水場であったウリガー(洞泉)、ひと頃は子どもたちの隠れ家的遊び場でもあった。そこにたまたま、高校生2人が恋のキューピット役を頼むための会話を交わしていた。そこから展開していく物語は小学生や中学生、久しぶりに里帰りした大学生も加わって話題は多岐に渡っていく。それぞれに進路や家族のことなど不安や悩みを抱えていた。その日は、百年に一度の大流星群が降るまさにその時。彼らは、その洞穴の中で、不思議な泣き声を聞いたのだった。
そのことをきっかけに、時代は人頭税のころ。機織りをする若い娘を、役人の暴挙から守ろうとする父親と、娘を差し出せと迫る役人との諍いの場面に出くわす。洞穴で聞いた泣き声は娘のものだった。どうすれば、娘を役人から守れるか、子どもたちは考える…。少年少女は島に農民が虐げられた辛い時代があったことを知る。フィナーレは、「踏みにじられても歌うのを止めない、踊るのを止めない、それがミャークビト」とクイチャーを踊る。
現代に戻った子どもたちは、先人たちが辛い時代を乗り越え、今の平和があることを認識する。「先人の魂が、あの海となり、空となって守っている。アララガマ!」と叫び、アイデンティティーに目覚めていく。最後は、自分たちの悩みなどちっぽけだと笑い飛ばし、踊りで思いを打ち消していく。