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私見公論
2013年7月27日(土)8:55

エコアイランド宮古島の取り組みについて(6)/大金 修一

私見公論79


 現在、政府では今後のエネルギー政策についての議論が進められている。先に公表された「日本再興戦略」においては、「クリーン・経済的なエネルギー需給の実現」を掲げて①クリーンで経済的なエネルギーが供給される社会、②競争を通じてエネルギーの効率的な流通が実現する社会、③エネルギーを賢く消費する社会、を今後の社会像としてエネルギー最先進国を目指すことを位置づけている。そのような中において、現在、宮古では沖縄県の「沖縄スマートエネルギーアイランド基盤構築事業」の一環として「宮古島市全島エネルギーマネジメントシステム(EMS)実証事業」および「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」が進められている。これは、島嶼(とうしょ)である宮古において、島全体のエネルギーの効率的利用の実現および太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの利用モデルの構築を目的としたものであり、前述の政府の方向性にも合致する極めて先進的な事業である。実証の進捗(しんちょく)状況は、エネルギーの可視化を行う「スマートボックス」の設置やエネルギーの利用データの集約等を行う基幹システムの整備等が進められており、今秋には本格的な実証の運用を開始する予定である。また、併せて「雷神ミエルカ」を活用した取り組みの普及啓発も行っており、エネルギーの効率的利用等を通じた島の活性化につながるものと期待している。

 これまで宮古島のエコアイランドの取り組みは、生活の源である地下水の保全に始まり、海洋保全やゴミの問題、再生可能エネルギーの活用などにより進められてきた。また、それらは国などの関係機関により環境モデル都市や次世代エネルギーパークの認定、各種の表彰等を受け、一つのモデル地域としての事業展開が行われてきた。今後も市民の意識の高さも相まってこの取り組みは進んで行くであろう。他方、エコアイランドに向けた取り組みは息の長いものであり、各関係者がそれぞれに協力しつつ努力を継続していくことが何よりも重要である。そのためには、エコアイランドに係る取り組みを市民、事業者、行政、そして観光客も含めた宮古に関わる全ての者が島の活性化に資するものであることを共有し、有機的に連携した取り組みとして進めていく必要がある。将来的にはかかる個別の取り組みがより大きな枠組みのもとで、発展性のある形で取り組むことが可能となるよう、地域振興策のなかに組み込んでいけるような枠組みが整備されていくべきであり、そのためには既存の取り組みを精査しつつ、基本的かつ体系的な整理を進めていくことが必要である。また、それらの取り組みを島の中での内部活動に止めることなく、宮古のオリジナリティーあふれる取り組みとして対外的に積極的な情報発信を行い、さらなる付加価値を生み出していくことも重要である。それにより、宮古のエコアイランドブランドを確立し、他地域との差別化を図ることによって、観光や農業などの既存産業との好循環を生み出すことも可能となる。

 さらには、先に公表された「骨太の方針」および「日本再興戦略」においては、沖縄は成長著しいアジア市場の玄関口としての大きな優位性と潜在力を有しており、日本のフロントランナーとして21世紀の成長モデルとなり日本経済活性化の牽引(けんいん)役となるよう、国家戦略として、沖縄振興策を総合的・積極的に推進する旨が明記されたところ、今後の宮古の方向性においても、国内のモデル都市のみならず、国外の島嶼国等に発信できるモデル構築を目指して進めていく視点も重要である。

 私の私見公論も今回で最後となるが、宮古にお世話になってはや4年、基礎自治体での現場経験の中で日々勉強させていただいている。宮古に関われたこの機会に感謝して、今後も宮古のエコアイランドの取り組みを通じた地域の活性化に向けて、積極的な情報発信に努めていきたい。

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