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ペン遊・ペン楽
2014年5月22日(木)8:55

憲法第13条/本永 清

2014.5.22 ペン遊ペン楽

 5月3日、憲法記念日。県内各地で、憲法講演会が開かれた。私も数年ぶりに、那覇市民会館に足を運んだ。県憲法普及協議会、他2団体の共催である。

 会場はすでに、講演を聴きに来た人たちで満席であった。憲法をめぐる今の危機的状況を知って、多くの方たちが来場したのであろう。あとで主催者から参加者が1500名を超えたという発表があった。

 今回は、県内各大学の学生たちによる朗読劇で始まった。テーマは「いま、憲法のはなし-戦争を放棄する意志-」。学生たちは、「憲法改正」に賛成・反対の立場に分かれて、それぞれ熱弁をふるった。その中で、第13条の話が出た。安倍首相が、昨年の参議院予算委員会で「日本国憲法のなかで一番大切な条文は何ですか」と民主党の小西洋之議員に問われて、答えられなかった条文である。 

 第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

 そうなのだ。日本国憲法は、この第13条(包括的な人権保障)に基づいて、国民一人一人に様々な自由や権利を保障している。改めて確認すると、

 平等原則、公務員の選定罷免権、請願権、奴隷的拘束及び苦役の禁止、思想及び良心の自由、信教の自由、集会・結社及び表現の自由と通信秘密の保護、居住・移転・職業選択・外国移住及び国籍離脱の自由、学問の自由、家族関係における個人の尊厳と両性の本質的平等、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利と義務・児童酷使の禁止、勤労者の団結権及び団体交渉権、財産権、裁判を受ける権利、その他諸々の自由や権利。

 ところが今、戦前回帰とでも呼ぶべき事態が、急速に進んでいる。国家機密法の制定や集団的自衛権行使容認をねらう解釈改憲の策動、社会保障の切り捨て、消費税増税、等々。学生たちは、その若く鋭い感覚で、日本の現状と将来に対する危険を察知し、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和を高らかに宣言した憲法前文を朗読してその劇の幕を閉じた。

 憲法講演会はこの後、シカゴ大学名誉教授ノーマ・フィールド氏のビデオメッセージの視聴、県内の著名な女性ジャーナリスト、儀間多美子、三上智恵、与那嶺路代の3氏によるクロストーク、オバマ大統領へのハガキ運動の呼びかけと続いて、最後に宣言文(私たちは「戦争をする国」を拒否し「9条の希望」を選びます)を採択して閉会した。帰り際に会場の出入り口で見ると、参加者の中に多くの友人・知人たちの顔があった。「憲法を守れ!」の草の根運動は確実に、そして急速に広まっていることを実感した。

 第12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」

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