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人生雑感
2014年7月1日(火)8:55

感性豊かな人は自分を幸せにし他人をも幸せにすることができます

沖縄国際大学名誉教授 福里盛雄

1 感性とは

 感性(感受性)とは、辞書によると、対象からの印象を受け取る能力と説明されています。換言すれば、対象をよく観察して、どのような反応を示すかという心の働きだといえるのではないでしょうか。

 感性の豊かな人は、自分の目に映る状況に敏感に気づき、その真の意味を理解し感動して、適切な行動をするようになる。そのために、感性の豊かな人は、自分と他人を幸せにする。ここで、感性豊かな人の生活の実践例を示しましょう。柏木哲夫「いのちへのまなざし・人間理解を深める55のメッセージ」14~15頁に適切な感性の例が挙げられています。「生まれつき重度の心身障がいがある息子さんを自宅で介護し続けてきたご夫婦がいました。息子さんが40歳のとき、肺炎になり、急死されました。ご両親の悲しみは深く、長い間家に閉じこもっていたようですが、いつまでもそんな生活をしていては良くないと思い、息子さんの写真を額縁に入れ、旅に出ることになりました。そんなある日、空の旅のとき、「左の窓から富士山が見えます」と機内アナウンスがあったので、お母さんは早速写真を取り出して窓際に立てかけました。息子さんにもぜひ富士山を見せたいとの思いからでした。そのとき、飲み物サービスをする客室乗務員が回ってきて、お二人はジュースを注文しました。客室乗務員は二人にジュースを渡し、その後、もう一つのコップにジュースを注ぎ、「窓際の方にもどうぞ」と言って、差し出したそうです。この乗務員の感性ある行為に二人は大変感動したそうです。
 聖書にも感性に富んだ人々の行為が多くあります。一人の旅人が、旅の途中、強盗に襲われ、持ち物を全部奪われて、痛みつけられ、強盗は、その人を道端に放り投げて行った。そこを通る人々はその傷ついてうなっているかわいそうな人を助けようとはしないで、急いで行った。面倒なことには関わりたくないという気持ちがあったかもしれません。ところが、後からきた一人の人は、うなっている人をみてかわいそうに思い、そのまま放置しておけば死ぬかもしれないと、介抱し、宿屋までつれていって宿賃も払って、介抱を宿屋の方に依頼し、さらに自分が帰る際に介抱した費用は全部支払いますからと、介抱を依頼していったという事例があります。この人も感性の豊かな人格者だと言うことができます。


2 感性豊かな人になるためには、人は何をすればよいのでしょうか

 感性を豊かに身につけるためには、相手の言うことばをよく聞き、物事を心の目で深く見ることであり、それに深く心を動かされる必要がある。何を聞いても、何を見ても何も感じない人は感性があるとは言えません。そして感じたこと、見たことに対する反応を即座に示さなければなりません。その心の反応を実践することである。行為のない感動はなかったと同じであり、それは、聞かなかったと同じであり、何も見ていなかったことになります。
 持っている感性を正しく用いれば、感性は、自分を成長させる要素であり、そして他人をも成長させる要素でもあります。そして感性は人が幸せになるための大切な土台に数えることができます。感性の豊かな人は、愛にあふれた人と言われるでしょう。
 人は誰でも感性のある人と評価されたいと望んでいます。ところが感性のある人は、そう多くはないのです。そのために、感性に富んだ人は、多くの人から親しまれ、多くの人が寄り添ってきます。感性の豊かな人は、いつも親切であり、人々から感謝されます。
感性豊かな人は自分を幸せにし

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