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インサイドリポート
2015年2月26日(木)8:55

難解な法解釈で議論混迷/西里氏資格審査特別委

求められる再発防止策


西里氏の議員資格について激しい論戦を展開している特別委員会

西里氏の議員資格について激しい論戦を展開している特別委員会

 自らが役員を務める建設会社が市の公共工事を受注していたことが「議員の兼業禁止」を定める地方自治法92条の2と公職選挙法の104条に該当する可能性があるとして、西里芳明市議の議員資格について現在、市議会の特別委員会や選挙管理委員会で協議が進められている。二つの委員会ともこの問題に難解な法解釈が横たわることから議論は混迷化している。

■ 「法」と「判例」

 92条の2は、議員個人が当該地方自治体と請負関係に立つことを禁止し、当該地方自治体から請負をしている法人についても、一定の場合には取締役等になることを禁止している。
 全国的にはこの92条の2に抵触し議員の身分を失った事例が過去にあった。しかし、失職した議員が裁判を起こした最高裁の「判例」では「兼業禁止」については、全体に占める請負量が判断基準となったことから、現在行われている特別委ではその判断の仕方、基準をめぐり意見が衝突している。

■ 限界?

 選管でも104条については同様の問題を扱った別の自治体の事例を用いながら協議を進めているが、こちらも法律と現状とをつなぐ法文がないことから難しい判断となっている。
 公職選挙法104条では、地方公共団体の議会議員の選挙における当選人で、当該地方公共団体に対して地方自治法第92条の2の規定に関係を有する者は選管に対し、当選の告知を受けた日から5日以内に前記の規定に関係を有しなくなった旨の届け出を求めており、その期間に届け出がないときは「当選を失う」としている。
 西里氏はこの届け出をしていないが、公選法では5日以上経過した後にその事実を知ったとしても、後日発覚した際の定めがないため104条を適用することが困難として選管も頭を悩ませている。
 そのほかにも西里氏が取締役を務める建設会社において常勤でなければならないとされている経営業務の管理責任者でありながら議員活動を行っていたことや、市議選で選管に提出した候補者届の職業欄に「会社役員」ではなく「会社員」と記していたことも問題視され、今後この問題を含めた特別委や選管、宮古島市がどのように取り扱い、判断していくのか注目される。

■ 未然防止

 今回の西里氏のケースに似た事例が2011年に愛知県の大府市議会でもあった。
 当時の大府市議会では以前に議員の不祥事が相次いだことから政治倫理について議員間で明文化して申し合わせていたが、ある議員がその政治倫理要綱事項に違反しているとして宮古島市のような「特別委員会」ではなく、「政治倫理委員会」の中で審査した。
 審査を経て大府市議会では「申し合わせ事項は法に禁止されている兼業に該当することを未然に予防することも含まれていた。順守していれば『92条の2』と『104条』に違反した疑いを掛けられることもなかった」として対象となった議員の議員辞職勧告決議が議会に提案され、可決した経緯がある。
 その後、同市議会では、民主的で公正かつ清廉であることを基本に政治倫理の向上を目指すとして「議会改革・活性化特別委員会」を設置して「政治倫理条例」を制定し2012年6月に公布、施行している。
 今回の問題は1人の議員の議員資格をしっかりと審査して判断することも大切だが、さらに市議会全体として同様の問題を生まないための取り組みも求められている。 
 大府市議会政治倫理条例の第3条の6では「議員が役員をし、もしくは実質的に経営に加わっている企業等または議員もしくはその配偶者、同居の一親等以内の者が経営する企業等について、『92条の2』の規定の趣旨を尊重し、市が行う請負その他の契約を辞退するよう努めること」としている。

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