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行雲流水
2016年7月5日(火)9:01

【行雲流水】「映画『うつくしいひと』」

 「よしもと南の島パニパニシネマ」で行定勲監督作品『うつくしいひと』が上映された。この作品は、「熊本に生きる人々の日常をささやかなラブストーリーに仕上げることで、ロケーションの素晴らしさを際立たせ、熊本を日本だけでなく世界にアピールしたい」ということで企画・製作されたものである

▼熊本の城下町、繁華街の片隅にある小さな本屋で大学生の透子(橋本愛)はアルバイトをしている。そこに独特の雰囲気を持った中年の謎の紳士(姜尚中)が来て、いろいろと話しかけ、最後に「若い人は美しい、でも、年を重ねた人はもっと美しい」とホイットマンの詩句を残していく

▼謎の紳士はまた「ひとときのことが永遠に心に残ることもある」とも話す。実は、謎の紳士と今は亡き透子の父、二人にとって、高校時代、現在の透子の母は大好きな「美しい人」だったのである

▼-父が作った未完の8㍉映画が流れている-。そのフィルムの中には高校時代の透子の父と母、そしてもう一人の少年がいて、美しく、「青春」している。ノスタルジックである

▼透子は謎の紳士と熊本の美しいところを見て回ることになる。阿蘇山麓の草千里や菊池渓谷、熊本城などである

▼この映画は、震災前の昨年秋につくられたものである。この映画を見て、熊本の人々は、もう一度、美しい熊本を取り戻したいと、決意を新たにしているという。行定監督は、被災地の惨状を見て、この映画を有料配信し、売り上げは被災地に寄付することにした。被災地のはやい復興を祈りたい。

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