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2017年4月18日(火)9:01

【ひと】県立宮古病院長/本永 英治さん(60歳)

地域に寄り添う医療へ


本永英治さん

本永英治さん

 「医療の本質は地域住民とともに歩むことと、高品質医療の提供を求めていくことに尽きる」-。医師、看護師ら合わせて約560人体制の長に1日付で就任した。病気を治すだけでなく、健康な島と健康な人づくりへ、地域と人に寄り添いながら取り組む決意だ。

 急速な高齢化の進展で、毎日といっていいほど、お年寄りが入院してくる。県外の医師がほとんどを占める中、患者とのコミュニケーションは一つの課題だ。

 「高品質の医療を提供することはもちろんだが、患者の背景、つまり、島の歴史や文化も理解してほしい」。転入や新採用の職員らを前にこう訓示したという。

 「宮古のお年寄りたちは、自然災害にたびたび見舞われながらも子供を育てることに一生懸命だった」と話す。その上で「患者の言葉には必ず意味がある。言葉に耳を傾け患者の不安を取り除き、信頼関係を構築すれば医療の質は高くなる」。医療行為は、人を思いやる心で対処すべきだということだろう。

 宮古病院は、患者との距離的生活空間が近く、患者に関する情報が得やすいのが特徴という。こういった特性を、さらなる高品質医療へつなげることが目標だ。

 高度先進医療はリスクも伴うが「医師や看護師などさまざまな医療従事者が、それぞれの専門性を発揮し患者に対応するチーム医療が大事になる」と強調する。「患者やその家族には分かりやすく、繰り返し、丁寧に対応していく。時間は掛かるが、それを怠ると後でしっぺ返しが来る」。

 宮古病院の医師は約60人。うち、宮古出身は10人に満たない。琉大医学部の「地域枠」には宮古出身者もいる。「医師としての実力を身に付け、将来は離島医療に貢献してもらいたい」とエールを送った。

 本永英治(もとなが・えいじ) 1957(昭和32)年1月25日生まれ。60歳。平良西里出身。自治医科大卒。県立中部病院、八重山病院などを経て、2001年県立宮古病院リハビリテーション科部長、11年同院副院長、17年4月から現職。座右の銘は「無知は罪なり、知は力なり」。趣味は三線、カメラ、自然散策、宮古方言研究など多彩。

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