感覚的な付加価値重要/入域観光客数100万人突破記念事業
デービッド氏(新・観光立国論著者)が講演
宮古島市入域観光客数100万人突破記念事業として「新・観光立国論」などの著者のデービッド・アトキンソン氏を招いた宮古島講演(主催・同実行委員会)が6月30日、市内のホテルで開かれた。アトキンソン氏は外国人観光客の必要性について説明するとともに、多くの外国人観光客に来てもらうためにはカスタマーエクスペリエンス(感覚的、感情的な付加価値)を向上させる必要があると訴えた。
イギリス出身で金融アナリストの経歴などを持ち、現在は安倍晋三首相が議長を務める「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」の委員でもあるアトキンソン氏は、現在の日本の状況が人口減少が進み、今後もさらに減ることが予想されることを踏まえて、「少子高齢化で社会福祉は増大し、生産年齢人口が減少することで経済規模は縮小する。減少していく日本人消費者の代わりに、外国人観光客にお金を使ってもらうことで経済を回す必要がある。外国人観光客は滞在するが移住する訳ではないので社会保障負担もないことが良い」と説明した。
多くの外国人観光客に来てもらうためにはカスタマーエクスペリエンスの向上が必要とし、宮古島を考えると「気候と文化、歴史、食べ物などをどう組み合わせてどう整備すれば良いのかを受け身的に考えず、素材をどのように調理するかを考えてほしい。空港に降り立ち、帰るまでにどのくらい満足させられるか」と強調した。
さらに、外国人観光客が満足するためには「おもてなし」は重要では無いと述べ、「フランスはおもてなしのランキングでは低いが、訪れる外国人観光客は世界で断トツでトップ。おもてなしと観光戦略の相関関係はほぼない。素晴らしい観光資源があれば人が無愛想でも観光客は来る」と述べた。
また、「宮古島の魅力はビーチというがビーチはただのビーチ、いろいろなアクティビティやビーチハウスを整備することにより稼げないものを稼げるものにする。観光地の魅力は作ること。観光産業のポイントは今ある自然などの価値にどこまで付加価値を付けられるか、多様性のある観光をするためにもしっかりと整備をしていくことが必要だ」と訴えた。