観光消費額297億円減/11カ月連続で前年割れ
新型コロナの影響深刻/20年実績
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、宮古管内の経済損失額が拡大している。入域観光客数を基に算出した2020年の観光消費額は354億9600万円、前年実績比で297億円(45・6%)減少した。2月から11カ月連続で前年実績割れが続くなど新型コロナの影響が顕著に表れている。
20年の観光消費額は、1月こそ前年実績を上回ったものの、クルーズ船の寄港中止によってインバウンド需要が消失した2月以降は前年を下回り続けた。
政府が新型コロナに係る緊急事態を宣言した4月は特に落ち込み、前年比で42億円も減少した。5月は45億7000万円、6月も36億6400万円減った。
7~9月は前年の5割前後、10~12月は6~8割まで持ち直してきたが、年間を通して見ると前年比で300億円近い観光消費額が失われたことになる。
経済損失の要因は新型コロナに尽きる。緊急事態宣言で県境をまたぐ人の移動が制限され、全都道府県で観光客が激減。これに伴う消費活動の減退が地域経済に大きな打撃を与えた。
こうした社会環境を背景に、市内事業者の経営も逼迫(ひっぱく)した。交通や宿泊に限らず飲食、土産品店、レジャーなど観光関連業は売り上げが減って資金繰りに苦慮している。業界は未曽有の経済危機に直面しているのが現状だ。
21年もこの傾向は続いている。新型コロナ感染者の急増で政府は1月7日に再び緊急事態を宣言した。20年暮れに掛けて戻り始めていた観光客が再び足を止めるなど経済活動の先行きは見通せない状況が続く。
観光消費額は、2019年度の県文化観光スポーツ部の観光統計実態調査を基に算出している。同調査による空路観光消費額は1人当たり8万1320円、海路は1万2182円。これに市が毎月数値化している入域観光客数を掛け合わせて年間実績をまとめた。