8カ月間入港無し/クルーズ船受入施設
借入金返済に影響も/市、計画見直し検討へ
新型コロナウイルス感染拡大によるクルーズ船需要の消失で、昨年11月に平良港に整備されたクルーズ船受け入れ施設へのクルーズ船就航が8カ月経過した現在も一度もなく、それに伴って同施設の起債償還に充てる予定だった「係船料」も入っていない。このままの状況が続けば国から借り受けた9億9680万円の償還計画の見直しを迫られる状況になることから、市港湾課では今後の状況を見据えた上で、国への正式な要請についても検討するとしている。
同受け入れ施設の整備に係る総事業費は11億7000万円。そのうち国の財政融資資金から9億9680万円を借り受けている。
償還の財源となる「係船料」については、年間で1億5000万円を見込み、そのうち6100万円を償還に充てる計画となっている。
クルーズ船に課す「係船料」については、4月に値上げされ、従来の1㌧当たり3円を14円とし、それを基に償還計画が立てられている。
償還期間は、3年の据え置き期間を経て2023~年度までで、初年度と最終年度のみ約3000万円、それ以外は約6100万円となっている。
しかし、コロナ以前は年間100回を超えた平良港への寄港は昨年の2月以降ぴたりと止まった状況が続いて先行きも見通せないことから、償還計画への影響も現実味を帯びてきている。
当初は、今年7月に国内クルーズ船の入港が予定されていたが、感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響もあって中止。今後は10月に国内クルーズ船の入港計画があるが、これも感染状況次第では中止となる可能性があるとしている。
償還について同課は「今後については手探りの状態。こうした状況はコロナ禍による影響なので、国も何かしらの対応はしてくれると思っている」と、国の対応に期待を寄せた。
同施設については当初、市とクルーズ会社グループのカーニバル・コーポレーション&PLC(カーニバル社)が形成協定書締結前合意を結び、同社が整備する予定だった。
しかし、同社が18年2月に現在の陸域ではなく、岸壁背後で造りたいとの案を提示して以降、交渉が難航。結局、市が同施設を整備した。