娘と同乗者を提訴/アトール前事故
遺族が責任追及/来年2月に口頭弁論
3年前にホテルアトールエメラルド宮古島前で軽自動車と2人乗りオートバイが衝突した事故で、オートバイの後部座席に乗っていた男子高校生が死亡し、運転過失致死罪に問われた女性が控訴審で逆転無罪となった事故で、男子高校生の母親が事故当時運転していた可能性が指摘されている女性の娘(19)と同乗者2人に対して合計3180万円余の損害賠償を求め、那覇地裁平良支部に提訴したことが15日までに分かった。第1回口頭弁論は来年2月6日に開かれる。
今回の提訴について遺族は「とにかく、事故当時何があったのか、真実をこの裁判で知りたい」と話した。
訴状によると、女性の娘に対しては運転者としての責任を追及し、同乗者2人に対しては運転していた娘が無免許であることを十分認識していたにもかかわらず、その運転行為を容認し教唆または補助した結果が事故につながったとし、遺族の代理人は「同乗していた2人に対しては共同不法行為の責任を追及していく」と述べた。
この問題では、今年5月に逆転無罪判決を受けた女性に対して、遺族が計3180万円余の損害賠償を求めて那覇地裁平良支部に提訴。7月には被告の女性が請求額の支払いを認めたため、同訴訟は確定し終結した。
しかし、現在も賠償金の支払いがされていないことから、この女性の娘と同乗者の共同不法行為の責任を追及するため提訴した。
この事故は、2008年11月30日に市平良下里の国道390号で発生し、オートバイの後部座席に乗っていた男子高校生が同12月6日に死亡した。
酒気帯びの状態で軽自動車を運転し、男子高校生を死亡させたとして、女性が自動車運転過失致死と道路交通法違反の罪に問われ、一審では懲役3年の実刑判決を受けた。
しかし、女性の弁護側は自動車運転過失致死については「事故当時は同乗していた長女(当時15歳)が運転していた」と無罪を主張。
控訴審判決で福岡高裁那覇支部の河邉義典裁判長は弁護側の主張を認め「被告が運転していた事実を推認させる客観的な証拠はなく、同乗者らの供述はいずれも信用できず、合理的な疑いが残る」と判断し、自動車運転過失致死罪について一審の判決を破棄、逆転無罪を言い渡していた。
福岡高検那覇支部は昨年8月31日に上告断念。女性の無罪が確定した。
有罪、無罪または免訴の判決が確定した事件については、刑事訴訟の原則(一事不再理)で再び審理をすることはできない。