市議会12月定例会傍聴記
市は懸念材料の払拭を/トゥリバー変更契約
積極的な情報公開必要
改選後初の市議会12月定例会は18日、15日間の会期を終え閉会した。下地敏彦市長を支える与党が圧倒的過半数を占めてから初の議会でもあった。一般質問や議案採決が行われた最終本会議を中心に今議会を振り返った。
「トゥリバーの変更契約書の中身が十分に明らかになっていない」。18日の最終本会議。「土地売買契約書の一部変更契約」は、野党などが同議案の精査を求め反発し退席したが、与党と21世紀新風会の賛成多数で可決した。
同契約書は仮に契約が解除され、市が売買代金40億円を返還する際に利息を付さないことを明記したものだが、野党などが指摘するのはそれとは別に「(その後の一切の変更、修正その他の合意を含め、以下『本契約』という)」との文言だ。
國仲昌二氏は「そのカッコ書きの部分の説明がなく、理解できない」、亀濱玲子氏も「契約書のほかに開発に関する協議書が交わされている」と指摘し、その中身の精査が必要だとした。
企業側はこれまでに3回、開発延期を申し入れ、市はこれを受け入れている。
過去2回の延期期間は2年間だったが今回は3年間を要請。今年11月7日に企業側と「覚書」を交わしたが、3年間という延期期間の理由が明確にされていないことや、企業側と交わした「覚書」の内容も示されていない。
下地市長は今議会一般質問の答弁で、「国、県の補助金で整備された施設を取り壊すことは難しい」と述べている。
当時、企業側と交わした「協議書」には「便益施設の全部取り壊し、東屋の全部取り壊し及び代替施設を設置することについて、関係機関と調整する」とあるが、その調整はできているのか、あるいはできるのかはいまだ不透明だ。
土地売買に関する仮契約は2007年8月16日に行われたが、市は企業との調印式を非公開にした。秘密裏で行ったという印象は拭えず、当時は売買価格が40億円という高額さも手伝ってさまざまな憶測が流れた。
市はこういった背景を踏まえ、野党議員らが指摘するさまざまな懸念材料を払拭し、積極的な情報公開を通して相互理解を深めるべきではないか。
定年退職した市職員を再び市の職員として採用する「市職員の再任用に関する条例」と関連4議案は「論議が必要」として継続審査とした。
同条例は年金の支給開始年齢が現在の60歳から段階的に引き上げられ最終的には支給年齢が65歳となることから、年金が受給できる年齢に達するまで雇用と年金の接続を図ることが狙いだ。
しかし、再任用された職員がフルタイムの勤務を希望した場合、職員の定数枠に含まれる。このことから定員適正化計画や新規採用者にも影響が出るとして、その運用面に懸念の声が上がっている。
市の定員適正化計画では現在825人いる市職員を、2020年までに668人にまで削減することが示されている。
また、市職員の採用試験には毎年400人ほどが受験している。
このことから、市は同条例が制定されると職員の定員適正化や採用計画の見直しを余儀なくされる。
市は今年度退職する46人を対象にしたアンケートを実施。18人が回答し、うち7人(フルタイム2人)が再任用を希望したという。
下地市長は「法律をしっかりと執行するという行政の立場がある。一方で若い人の雇用の場を確保するということも別の視点で考えている」と述べた。
小さな自治体では、役所は大きな雇用の場だ。法律の施行と若者の雇用の確保という整合性をどう図っていくか。他の自治体の事例を見ながら検討していくしかないだろう。