裁判所の仕組み学ぶ/子どもたちが模擬体験
那覇地裁平良支部 夏休み親子見学会
那覇地方裁判所平良支部(竹村昭彦支部長・裁判官)の「夏休み親子見学会~裁判のしくみを知ろう!」が6日、同支部で行われた。見学会には児童生徒18人と保護者12人が参加し、裁判所の仕事や裁判の仕組みについて学んだほか、模擬裁判で放火事件について裁判、評議、判決言い渡しまでを行い、一つの事件を裁くことの難しさや大変さについて学んだ。
見学会では最初に、「リホちゃんとナビすけの裁判所ってどんなとこ?」のDVD上映が行われ、裁判所の仕事に対する知識を深めた。
法廷内の見学を終えた後、模擬裁判体験が行われ、参加した子供たちが裁判官、検察官、弁護士の役割をそれぞれ演じ、裁判の仕組みについて学んだ。
模擬裁判で想定した事件は、市民公園の中にある古い物置小屋の放火で、犯人は小屋の壁の下側にある隙間に新聞紙を差し込んで燃やし、小屋の壁約0・1平方㍍を燃やした。
同事件については、ペットを連れた男性が散歩中に小屋のあたりが燃えていることに気付き駆けつけると、火の近くにいた男が両腕を上下に振るような動きをしているのを確認した。
発見者の男性は着ていた上着で火をたたいて消した上で、警察に通報。駆け付けた警察官が男を放火の疑いで逮捕し、裁判で審理されることとなった。
裁判では弁護側が無罪、検察側が有罪の主張を展開。別室で行われた評議では参加した子供たち9人(裁判官役3人、裁判員役6人)が見解を述べ合った。
9人の意見は当初、有罪3人に対し、無罪が6人。その後、容疑者の供述や事実関係について意見を交換する中で最終的には無罪が7人、有罪が2人となり、協議の結果、多数決で無罪判決となった。
模擬裁判終了後は竹村裁判官が講評を行い、一つの事件でも人によって見方や評価が違うことや犯罪に対して判断を下すことの難しさについて子供たちに説明した。
参加した子供たちは模擬裁判や評議を通して、事実を見極めることの難しさのほか、刑事事件の原則である犯罪事実がはっきりと証明されないときは、被告人の利益になるように決定すべきであるという「疑わしきは罰せず」について学んでいた。
この見学会は、小中学生に夏休み期間中の自由研究などの教材活用や裁判所をより身近に感じてもらうことのほかに、裁判の仕組みや役割に関心を持ってもらうことを目的に行われている。