世界農業遺産登録目指す
多良間村など3村共同で申請
多良間村はこのほど、伊平屋、伊是名の離島3村共同で、島に昔から受け継がれてきた「抱護の林帯に守られた沖縄の伝統的小規模農業システム」を国連食糧農業機関の世界農業遺産へ登録するよう求める申請を農林水産省に提出した。今後は9月に一次審査、10月に二次審査が行われ、登録申請地域が決定する。
今回、申請されたのは、畑や家屋を台風などから守る防護林や食糧自給などに貢献する「アタイ」と呼ばれる家庭菜園などの沖縄に古くからある農業システム。島で昔から大事にしてきたこれらを価値あるものにしようと、伊平屋村と伊是名村が離島の村に共同申請を呼び掛け、多良間村がそれに応える形で参加。3村で世界農業遺産推進協議会を立ち上げ、7月30日に農水省へ申請した。
今回の申請に当たり外部アドバイザーを務めた石原修氏は「流入人口が少なく、観光への取り組みがこれからとなる島。リゾート開発をするのではなく、自分たちの足元を見つめて、そこに価値を見い出せば良いと思う。それが世界的に認められれば地域の人の誇りになる」との考えを示した。
多良間村の伊良皆光夫村長は「多良間を研究する琉球大学の仲間教授の推薦もあり、村のイメージアップにも繋がる事から申請に参加した。農水省からの認定を受ければ、次は世界遺産への取り組みもしていきたい。取り組むに当たって村民にも理解をしてもらわないといけない。子供たちの将来に向けて、素晴らしい島、誇りのある島を目指していければ良いと思う。また島外、県外、国外の人たちにも多良間島をアピールしていきたい」と語った。
申請候補地の評価は、農水省内の世界農業遺産専門委員会が9月8日に一次評価を行い、現地調査対象地域を決定。現地調査の後、10月20日の二次評価を実施し登録申請地域を決める。
世界農業遺産とは、地域環境を生かした伝統的農法や、生物多様性が守られた土地利用のシステムを世界に残す目的で2002年に創設。日本では現在、「トキと共生する佐渡の里山」や「阿蘇の草原の維持と持続的農業」など5地域のシステムが認定されている。