多良間「八月踊り」始まる/国指定重要無形民俗文化財
厳かに組踊り/初日は仲筋で多彩に
【多良間】国指定の重要無形民俗文化財、多良間島の「八月踊り」が1日、開幕した。正日(ショウニツ)と呼ばれる同日は、字仲筋の住民たちが土原御願で鮮やかな琉装に身を包み、組踊りや狂言、端踊りなどを演じた。2日は字塩川の正日がピトゥマタ御願で行われる。3日は「別れ」と称し両字で行われる。
字仲筋の八月踊り正日は、午前10時すぎから始まった。出演者全員が行列を作り、観客に顔見せする「総引き」で幕開け。若衆踊りや女踊りなどの古典舞踊「端踊り」のほか、狂言など多彩な演目で構成されている。約3時間に及ぶ組踊「忠臣仲宗根豊見親組」は最後まで観衆を引き付けた。
中学1年から3年間、大人に混じって組踊り「忠臣仲宗根豊見親組」に出演した西平聖矢君(多良間中3年)は「中学生最後の踊りに参加できて、良い思い出になった。緊張したが、台詞もちゃんと言えて良かった。来年は島を離れるが、来年も参加したい」と話した。
女踊りを披露した高江洲由芽さん(中2)と波平華奈さん(同)は「緊張したけれど、練習よりもうまくできたと思う。最初の舞台が終わってホッとした」と、額に汗をにじませながらも笑顔だった。
字塩川の正日は獅子舞で座を清めた後、男性が大笑いをしながら威勢良く踊る「よーんしー」、勇壮に踊る「棒踊り」、長寿の大主が子や孫を連れ、幸福と豊年を感謝する「長寿の大主」や若衆踊り、組踊り「多田名組」などが舞台を彩るなど多彩な演目が披露される。
八月踊り 旧暦の8月8~10日に、毎年開催される。起源は定かではないが、1637年から宮古、八重山で課されるようになった人頭税を納め終わった「皆納祝い」として、翌年の豊年を願い、神前で奉納踊りを行うようになったとされている。「多良間島の豊年祭」という名称で1976年5月に国の重要無形民俗文化財に指定された。