子供の誕生を報告/来間島で「ヤーマスプナカ」
3兄弟の家元で儀礼
下地来間島の伝統行事ヤーマスプナカが20日、2日間の日程で始まった。初日は3兄弟の家元で子孫の繁栄を祈願する「サラピャース」と「マスムイ」の儀礼が行われた。生後1年未満の子供の誕生を祝って島民が神酒を回し飲み、子孫繁栄と島の発展を願った。きょう21日は棒踊りや奉納踊りを披露しながら集落内を練り歩き、向こう1年の五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する。
ヤーマスプナカは旧暦9月の甲午の日に行われる島最大の行事。その昔に来間島を救い、繁栄させたと伝えられる3兄弟の家元(長男スムリャーブナカ、次男ウプヤーブナカ、三男ヤーマスヤーブナカ)を中心に祭事が行われる。
祭り初日、長男のスムリャーブナカでは午前8時ごろからサラピャースが始まった。
家主の長間盛史さんらが家元で作った神酒を「ピサギ」に入れ、角が二つ、足が四つ付いた祝い皿(ツヌザラ)に注ぎ住民に振る舞った。
子宝に恵まれた1年を祝い神酒を回し飲む間は、老若男女を問わず全員で神詩を歌い、生まれた子供の健やかな成長を願った。
この後、マスムイが行われ、ここ1年で生まれた子供12人が紹介された。父親らがあいさつに立ち、新しく生まれた命を島全体で温かく見守ってくれる島民の気持ちに感謝の言葉を述べた。
7月に生まれた杏樹ちゃんの誕生を報告した平良字西里に住む狩俣功さん(31)と由衣さん(25)夫婦は「初めて参加したが島の伝統を感じることができたし、島全体で子供の誕生を祝ってくれているのでとてもうれしい」と笑顔で話した。
今年1月に来間島に移住し、2月に生まれた栄人くんの誕生を報告した竹下義司さん(38)と友香さん(39)夫婦は「長女の璃子と一緒に来間島に移り住んで栄人がすぐに生まれた。島には親戚がいないのでこうして島の人たちが盛大に祝ってくれることが本当にうれしい」と述べた。
家主の長間さんは「今年は久しぶりに10人を超える誕生の報告があり、とても喜んでいる。子供たちが大人になってさらに子供が誕生して報告に来ることが島の活性化にもなる」と話した。
偶然訪れた観光客らもヤーマスプナカの行事に興味津々の様子で見入り、受け継がれてきた島の行事をデジタルカメラなどで撮影していた。