「宮古馬」でトークセッション/みゃーく市民文化講座
福氏(法政大兼任講師)、梅崎氏(スポニチ専門委員)、長濱氏(市史編さん委)
2014年度沖縄文化活性化創造発信支援事業の助成を受けて開催されている「みゃーく市民文化講座」(ATALASネットワーク主催)の第2、第3回合併講座が3日、市公設市場2階のミライへセンターで開かれた。講座には約45人の市民が集まり、講師3人の講演に熱心に耳を傾けていた。また、新潟県板倉町の「中村十作記念館」からインターネット中継も行われ、市民らは宮古の歴史、文化について造詣を深めた。
今回の講座で講師に招かれたのは法政大学兼任講師で、琉球文学、神話、民俗学の研究者で同大沖縄文化研究所員を務める福寛美氏。スポーツニッポン新聞社(スポニチ)東京レース部専門委員で、沖縄の伝統競馬の著書「消えた琉球競馬、幻の名馬『ヒコーキ』を追いかけて」著者の梅崎晴光氏。郷土で宮古馬を研究する市史編さん委員の長濱幸男氏の3人。
講師3人による合同トークセッションでは「宮古馬」について、在来馬の起源や人頭税との関わりなどについて、3人がそれぞれの専門的な立場から解説した。
長濱氏は、宮古島に馬が持ち込まれたのは14世紀ごろであることを説明した上で、「宮古では駿馬が宮内庁に献上されるなど、宮古馬は大変貴重な馬として存在していた」と話した。
これに梅崎氏は、沖縄競馬は「やぶさめ」などの神事とは関係なく、東西に分かれての競走を行うなど、本土の馬を使った儀式とはまったく異なることを説明し、「宮内庁に献納されたヒコーキ号など宮古馬は、蹄(ひづめ)が固く、性格が穏やかで、おとなしいという特徴を持っていた」と話し、これらは宮古の人の性格をも反映していることを話した。
人頭税と宮古馬の関わりについて福氏は、人頭税は牛馬の頭数にも課税されるなどの過酷なものであったことを説明し、「島が差別された事実のみに目を向けるだけでなく、賞金もでない琉球競馬を楽しんだ先人の文化や美を愛でる心に学ぶところは大きい」と述べ、過去の歴史を知った上で、宮古馬保存に力を注ぎながら、その活用形態を模索する必要性を説いた。