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社会・全般
2010年5月19日(水)11:13

「沖縄の古謡コンサート」(~黒潮がつなぐ島々の古謡~)

今年3月、沖縄国際アジア音楽祭の企画として「沖縄の古謡コンサート」(~黒潮がつなぐ島々の古謡~)が浦添てだこホールで開催された。このコンサートは失われつつある伝承歌=「古謡」を保存する活動の一環として開催されたもので、各地区に伝わる古謡が紹介された
 
▼ このコンサートで、久松に伝わる「野崎トウガニ」を下地勇さんが歌い、新良幸人さんが石垣市白保の「東の渡」を歌った。この二人が古謡を学び、コンサートに挑むまでを追った番組がNHKで放送された。

▼「野崎トーガニ」は久松にあるわき水「野川」を、命をつなぐ水だとたたえる歌で、ただ一人歌えるといわれる与那覇金吉さんに手ほどきを受けた。下地勇さんは、「歌詞を理解して、微妙な節ぶしを心を込めて正確に歌うことの大切さを学んだ」と言い、与那覇さんは「これで、この歌が歌える人が二人になった」と喜んでいた。

▼一方で、300年以上、石垣市白保で口承されてきた「東の渡」を歌えるのは一人だけになっていた。幸い彼の歌は録音されていて、今では祭りになくてはならないものになっている。

▼宮古島市総合博物館友の会主催で「宮古の歌謡について」本永清さんを講師に講演会が催された。講演では宮古に伝わる「白鳥のアーグ」と八重山の「バシユンタ」(鷲の鳥)の類似性が論考され、与那城美和子さんが魅力的な旋律を、美しい声で歌った。

▼生活の中で生まれ、共同体の平安や豊穣を祈り、歌われてきた歌謡には故郷の香りが染み込んでいる。


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