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社会・全般
2010年6月19日(土)14:03

2010/06/19 掲載

 「その昔庭続きの縁側には隣近所の祖母たちが3、4人集まり子や孫や時には婿嫁の家庭内話に及んだり耳目をひいている世間の出来事を話題に延々と談笑していた」Aさんはその光景を鮮明に記憶していると言いそう告げた

 
▼ 話を引き継いだBさんは「そしてタラフ(菓子入れふうの容器の方言名)から削りカツオをふりかけたアウワンツゥ(油みそ)を箸でつまむとまずは手のひらに置きしみじみと眺めてからほいッと口にしていたな~」と懐かしそうに語った
 
▼50代前半のAさんBさんの幼年期の記憶話である。車両の往来が少なかった当時は暴走する車も皆無で通りは高齢者にとっては安全地帯そのものだった。容易に集うことができた。近所間の人間関係も良好で交流は盛ん
 
▼井戸端会議ならぬ〝縁側談笑〟はどこでも日常的に展開された。昨今輪を広げている親睦ムヤイも一時金捻出に困窮している仲間を救うために相互扶助の思いやり心が生み出した工面策がはしりとなっている
 
▼手の届く所にあった小規模商店が大型量販店の続出で消滅。車なくしては買い物もしづらくなった今日社会。めでたいスラブ打ちなら日曜日でも共に無事の完了を願っていた昔日の隣人たち
 
▼しかし今ミキサー車の音がうるさいと息まく新隣人の出現で住環境は険悪になっていると聞く。「とかくに人の世は住みにくい」(夏目漱石「草枕」)。


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