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産業・経済
2011年1月1日(土)9:03

夢追う農業士の現場

 農業士は地域農業の指導者やコミュニティー活動の推進者、農業の模範を示す役割などを担う。農業の夢を追い情熱を傾け、日々頑張る農業士の現場を紹介する

高品質マンゴー生産/兼島弘実さん

マンゴーの栽培管理をする兼島さん

マンゴーの栽培管理をする兼島さん

 兼島弘実さん=指導農業士=は、毎日上野高田のマンゴー園に行き、木の健康状態を観察する。「しっかり観察すれば、今は栄養がほしい、水がほしいとか分かる。良い物は、木に懸ける愛情次第でできる」。丹精込めて育てた高品質マンゴーは県マンゴーコンテストで優秀賞を受賞し、2年前からは東京の一流デパートでも販売されるようになった。

 「作物は手入れをすればするほど、恩を返してくれる。作物は人を裏切らない」と農業の魅力を話す。

 マンゴーは色や艶、形、味で評価される。ハウスでは、良い物づくりに熟練の技が駆使されている。胸元の高さくらいに平べったく仕立てられたマンゴーが、ハウスの一面を覆う。太陽の光を表皮全体に当て、むらなく赤く色づかせるためだという。

 実は樹上で完全に熟するまで育てて収穫する。デパートのカタログでは「糖度15度以上のとろけるようなおいしさが格別。色鮮やかな赤い表皮に包まれた実の味はコク深い」と太鼓判。カタログを見た観光客が農園を訪れるほど、全国版に育った。

 取引先は長年付き合いのある顧客が4割、デパート3割、市場が3割。価格は宮崎県の東国原英夫知事の宣伝が追い風になった2007年がピークだった。リーマンショック以降、景気が落ち込み下がった。しかし、良い物は高く売れている。「世の中には金持ちが多い。秀品はそうした富裕層に売れる。低いランクも売れ行きが良い。中間の優品は、売りにくい」。嗜好品のマンゴーには今、良い物づくりが求められている。

 宮古産のマンゴーは、全国的に知られるようになった。ブランド産地形成へ安定出荷や選別の徹底、品質向上などを課題に挙げる。「日本一の産地になるには安全、安心に加えて、おいしい物を作らなければならない」と口調が熱い。

 今後のターゲットに、中国の富裕層を見据える。外国の安い農産物が入って来る中で、逆に高く売れる高級品を輸出する発想だ。「小さい島だからこそ、大きな夢が必要。可能性は十分にある。安全で安心。外国の消費者も日本の良さを分かっているはずだ」。

 経営していた測量設計コンサルタント会社を知人に譲り、マンゴー栽培を本格的に始めた。現在の経営規模は、72㌃。「農家に生まれ育ったせいか、農業を好きになったのでは」と笑顔を見せる。


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