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社会・全般
2019年11月24日(日)8:57

気候変動への知見共有/日本熱帯農業学会講演会

不良環境への対策検討


今後、深刻化が予想される気候変動に向け、安定的な農業生産を目指して開催された講演会=23日、マティダ市民劇場

今後、深刻化が予想される気候変動に向け、安定的な農業生産を目指して開催された講演会=23日、マティダ市民劇場

 日本熱帯農業学会の第126回講演会が23日、マティダ市民劇場で始まった。初日は「九州および南西諸島地域における気候変動に対応する熱帯農業研究」をテーマに公開シンポジウムが行われ、4人のパネリストがそれぞれの研究内容について報告。今後さらに深刻化が懸念されている気候変動の影響について、その対策などについて学んだ。

 あいさつで同学会の縄田栄治学会長は「今後、農業は気候変動による影響をどんどん受けると思う。今回のシンポジウムでは、それぞれの報告を受けながら熱のこもった議論をしてほしい」と呼び掛けた。

 縄田学会長によると、3大穀物(稲、小麦、トウモロコシ)の世界全体の生産量は2014~16年の3年間、エルニーニョ現象で干ばつや洪水などが相次いだ中でも24億㌧あったという。

 この24億㌧という数字は、日本人の3大穀物の年間消費量(190~200㌔)を平均とすると、100億~120億人を養える量であることを紹介。

 その上で「ただし、これは世界規模の生産量の話で、地域レベルや国レベルでは不安定。特に宮古島を含む島しょは気候変動による不安定要因を今後も大きく受けるといわれている」と指摘し、その対策の重要性を訴えた。

 国際農林水産業研究センターの寺島義文さんは「近縁遺伝資源を利用したサトウキビ改良の取り組み」をテーマに講演。

 不良な環境下に適応する品種改良の必要性を訴えながら、食料やエネルギーの増産を可能にする新しいタイプのサトウキビの開発を目指していることなどが報告された。

 そのほか、来賓あいさつを行った下地敏彦市長は同シンポジウムが有意義な内容になることに期待を寄せた。

 2日目の24日は、ホテルアトールエメラルド宮古島で「熱帯島しょにおける生ごみ由来のメタン発酵肥料によるバイオマス循環の取り組み」をテーマにした研究集会が開催される。

 今回、宮古島での開催は、台風や干ばつなどによる影響を常に被っている農家や行政関係者と熱帯農業研究者が経験、知見を共有し、対応を検討することを目的に行われている。


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