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社会・全般
2020年3月28日(土)8:59

文字をデザインする/電通CXの上地泰廣さん

大手広告代理店で活躍/平良下里出身


国内最大手の広告代理店で働く上地さん=27日、東京の電通クエーティブX

国内最大手の広告代理店で働く上地さん=27日、東京の電通クエーティブX

 幼少から習い始めた書道の腕を生かし、国内最大手の広告代理店で活躍する宮古島出身の若者がいる。電通クリエーティブX(クロス)(東京都港区)勤務の上地泰廣さん(27)。周りを楽しくさせるのが好きだという上地さんは「現在の仕事を全力でやりながら、自分の気持ちをどういう形で落とし込んでいくか考えていきたい」と話す。クライアントに事業の提案をしたり、その業務の工程管理などに携わっている。広告制作では文字をデザインする分野が得意で自動車メーカーや大手重工業メーカーのイメージアップ広告に携わった。

 上地さんは平良下里出身で平良第一小、平良中を卒業し、神奈川県の法政二高に進んだ。その後、法政大学、同大学院で植物遺伝子を専攻した。卒業後は大手広告代理店に就職し、昨年7月に電通クリエーティブXに移った。大学時代はコンピュータープログラムの専門学校にも通い、いわゆる「ダブルスクール」で、エンジニアとしての知識の吸収に励んだ。

 また今の上地さんの支えの大きな部分となっているのが3歳で始めた書道だ。市内の池田書道塾で故池田幸子さんの指導を受けた。先に兄泰一郎さんが始めていたこともあり、通うようになった。

 両親が看護師で共働きだったことから、学校以外の時間はほとんどを書道塾で過ごした。「字を書くのがとても好き。特に夏休みとかは朝の9時から夜の12時まで書道塾で過ごし、書きまくっていた。それぐらい書道が好き」と振り返る。

 腕前が上達していくにしたがって書道展やコンクールでの入賞も数え切れなくなった。小学生の頃は朝日新聞主催のコンクールで「日本一」に輝いた。高校生になってからは塾通いはしなかったが、時間があれば筆を持っていた。20歳の時には、住んでいた神奈川県川崎市の成人式会場の壇上の横幕を自ら書いた。大学時代は在京9大学でつくる東京学生書道連盟で講師を務め、多くの学生らを指導した。

 書道の腕前は仕事でも随所に生かされている。制作した広告が業界の専門誌に掲載された。正月の大型スポーツイベントではスタジアムの巨大スクリーンに制作した文字が映し出された。

 今はプロジェクトマネジャーという立場。「クライアントに、ゼロから何かを生み出すようなさまざまな提案をしたり、提案した事柄がうまく進んでいるかという工程管理が主な仕事。広告制作の依頼があれば受ける。充実した日々」と話した。

 趣味も多彩で写真、ダイビングに忙しい。宮古島の風景も数多く撮った。「海や風景もいいが、宮古島でもっとも素晴らしいのは星空。空が澄み切っており、国内屈指の撮影ポイント」と評価する。

 多彩な上地さんが当面の目標としているのが、英国ロンドンで個展を開くこと。池田書道塾で共に肩を並べていた同級生の友人が書をベースとしたアーティストとして世界を股にかけ活動しており、彼と一緒に「2人展」を来年秋に開催することを目指している。

 「今の生き方ができているのも書道のおかげ、幸子先生のおかげ」と感謝しながら笑顔だ。

 平良下里の成人さん、享子さん夫婦の2男。


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