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社会・全般
2011年2月25日(金)22:27

十六日祭(行雲流水)

 十六日祭の墓前で、神仏談議に花が咲いた。神と仏は違うはずだが、宮古の方言ではカムン(神)とは言うがプトゥキ(仏)とはあまり聞かない。位牌のある仏壇をもカムンダナ(神棚)と言う。古来、祖霊を祭る行事はウタキ中心の神道式だった。仏教が伝来しても「仏=神=祖霊」と解釈したのだろうか


▼十六日祭では紙銭(ウチカビ)を焼いて肉料理を供え(道教式)、線香をたく(仏教式)。宮古の祖先崇拝行事には三つの様式(神道、道教、仏教)が混在し、さらに儒教の教えが加わって現在に至っているようだ

▼それにしても、仏教はあまり浸透しなかったように見える。年表によると、仏教経典が最初に宮古に持ち込まれたのは1513年。祥雲寺の建立は1611年で、布教禁止・儒教奨励の通達は1663年。意外に、仏教の自由な布教活動期間は短い

▼さらに、「言語」の壁もあったであろう。方言しか知らない庶民に、方言を知らない僧(住持は3年交代制)が教義を説くことは困難だったにちがいない

▼もっとも、昔の人は抽象的な漢語を方言に言い換え、比喩するすべに長けていたと思われる。宮古の「夜明け前」の詮索は、現代人の想像の域を超えているのかもしれない

▼由来はともあれ、現代の十六日祭は里帰りの好機になっている。航空券が入手できなかった人びとは、故郷との距離がまた一歩遠のくことに。十六日祭の2日前と2日後に全県レベルのイベントを誘致できれば、1週間にわたる臨時便運行が可能になる。ちなみに、来年の十六日祭は2月7日(火)だ。


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