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社会・全般
2009年8月23日(日)21:34

「子ども博物館」子ども博士、650人に

「子ども博物館」20年の歴史

「エビがいるよー」と大和井で。暗がりの中、懐中電灯を使用

「エビがいるよー」と大和井で。暗がりの中、懐中電灯を使用

 今年で開設20年を迎える「子ども博物館」。旧平良市総合博物館の教育普及活動の一環として1990年度にスタート、小学校高学年の子どもたちが、宮古の自然や歴史、民俗、文化などに関する体験学習を通し、郷土に対する認識を深めようというもの。開設20年で約650人の子どもたちが参加したことになる。6回から7回の講座を受講した子どもたちには終了証書が手渡される。こうした体験を通し、子どもたちは大きく成長する。

 

 2009年度の「子ども博物館」は5月17日に「史跡巡り」でスタート、2回目に「昔の遊び道具を作ろう」。3回目の8月16日は「湧水観察会」、宮古の水環境について学習しようというテーマで市内四カ所の湧水をバスで巡った。夏休みの最中とあって、参加者は定員に満たなかったものの、子どもたちは島の方々にある湧水の状況をつぶさに観察、生き物たちの生息する現状に歓声をあげていた。
 
 講師は、甲殻類の研究者で琉球大学非常勤講師の藤田喜久さん。まず最初に石造遺跡としても有名な洞井「大和井」(ヤマトガー)を訪ねた。1700年代、役人の井戸として造られたといわれるヤマトガーは、石段を下りたところに泉があり、その中には甲殻類のカニやエビなどが生息している。子どもたちは、暗がりの中で懐中電灯を使い、テナガエビを網で掬(すく)うなど生態を確認していた。
 近くにあるブトゥラガーは、同時代、平民が使用した井戸と言われ、さらに暗くなっていた。その中で生息するエビは眼が退化しかけていた。藤田講師は「暗い場所で生活していると光をあまり必要としなくなったため、眼が小さくなった」と説明、子どもたちは小さな生き物たちを観察しながら、自然の不思議さに納得した様子だった。
 
 湧き水が海に流れる川満のウプカーでは、マングローブが繁殖、そこに住む生き物たちを観察した。そこでは、カニや小さな魚たちも観察された。また、同じ下地にあるピサガーを訪ねた。ここは、海の側にある崎田ガーに流れ着く湧水口で、以前は湧き水が豊富で近くに「崎田緑地公園」が造成されたほど。
 ところが、環境の変化か以前ほどの水はなく、せっかく造られた公園の池は水なし、人造の大マグロは干上がったまま。それでも、道路を隔てた湧水口の辺りは清水があふれていた。藤田講師は、ここでどれだけの生き物が確認できるか挑戦しようと、子どもたちに網と入れ物を渡し、競わせることにした。
 
 久松小5年の石垣希夏くんは「エビをゲット!」とはしゃぎ、水遊びを楽しんでいた。東小6年の平良基くんと與那城福大朗(南小4年)も、網で次々とカニやエビを掬いあげ、歓声をあげていた。中には、宮古でまだ記録のないミゾレヌマエビを掬って講師に感心される子もいた。最後はみんなで、カニやエビなどの名前を確認するなど観察した後、泉に戻した。
 今回は、第一期生の池城かおりさんも参加。
 
 今年度の講座は、第4回が「苧麻糸づくり」(11月)、第5回が「苧麻紙すき」(12月)、第6回が「食べられる野草をさがそう・ジューシーづくり」(来年2月)となる。


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