「廃校の文字消して」/県教育庁
参加者に動揺広がる/伊良部高廃校の素案説明
県教育庁は県立高校編成整備実施計画」(素案)に伊良部高校を後期(2017~21年)に廃校することを盛り込んだことに伴い17日、同校で説明・意見交換会を開いた。住民や教育関係者など約60人が参加したが、全員に動揺が広がっていた。伊良部高校の元PTA会長の中村雅弘さんは「素案に書かれている伊良部高校の『廃校』の文字を消して『伊良部大橋開通後に考えていく』に置き換えてほしい」と要望した。教育庁側は「持ち帰って検討したい。皆さんの意見は反映させたい」と理解を求めた。来年3月に開催される県教育委員会会議で同計画は決定される。
教育庁は、伊良部高校普通科を宮古高校普通科に統合し、伊良部高校を廃校すると計画。理由として▽伊良部高校の恒常的な定員割れが深刻▽過疎が進み、伊良部島の人口流出が顕著であり、地域の少子化が著しい▽2014年の伊良部大橋架橋(完成)によって、中学生が宮古島の高校に進学するケースが増える可能性がある-の3点を挙げている。
一方、効果として▽宮古高校との発展的な統合によりさらに充実した教育環境を生徒に供給することで、宮古地区の教育整備を進める▽生徒数増により、普通科を発展させることができるとともに、さらに多くの部活動をつくることが可能になるため生徒のニーズに対応できる-の2点を示している。
中村さんは、後期計画を語った上で素案に明記された「ただし、実施期間までに架橋による影響等により定員が過半数を割る状況が続いた場合は、実施期間を待たずにその翌年から実施」と読み上げ「この文言からは廃校を前倒しと読み取れる。前倒しするのか」と質問。これに対し、教育庁側は「橋が架かった時の様子を見ながら考えたい」と述べるにとどまった。
同校の元PTA会長の佐久本洋介さんは「この時期に廃校の素案を発表したのは早すぎる。受験生の子どもたちが動揺している。伊良部高校へ進学しようと思っていた受験生が、宮古本島の高校へ進路変更することも考えられる」と憂慮した。
参加した男性教師は「素案は都会の論理」と反発した上で「地域づくりの要は学校。伊良部地域には、特色ある教育の土壌がある」と評価した。