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社会・全般
2012年1月1日(日)9:09

全国に蒔かれた「一粒の種」/各地で広がる「幸福の輪」

新春対談

高橋尚子さん(51) 下地勇さん(42) 砂川恵理歌さん(34)

 

宮古島市熱帯植物園南にある「かたあきの里」

宮古島市熱帯植物園南にある「かたあきの里」

 3年前から、全国で話題を集めている歌「一粒の種」。この歌を世に送り出した3人が宮古出身であることは周知のとおり。命と向き合う看護師の高橋さん(伊良部字仲地出身)が、医療現場で体験したことを詩にし、宮古方言にこだわり次々とヒット曲をリリースする下地さん(平良字久松出身)が曲を付け、元介護師の砂川さん(城辺字下里添出身)が歌うという奇跡のリレーによって誕生した。昨年11月に開催された第1回生まれ島ミャーク大会に参加した3人に「一粒の種」を通したふるさとへの思いを語ってもらった。


 <一粒の種>
 一粒の種に 一粒の種に
 ちっちゃくていいから
 私もう一度 一粒の種になるよ
 

 出会って 語って 笑って 泣いた
 生きててよかったよ
 あなたのそばでよかったよ

 一粒の種は風に飛ばされ
 どっかへ行ってしまうけれど
 あなたへと辿る確かな道を
 少しずつ舞い戻って
 丘の上からあなたにだけ見える
 闇にも負けない光を放とう
 ささやかな日々に愛をもらった
 私にはそれができる

 一粒の種に 一粒の種に
 ちっちゃくていいけど
 あなたにだけ気づいてもらえる種になる

 痩せた頬に もう涙を流さないで
 震える声で もう語りかけないで
 私は笑顔であなたを見ている
 私を愛するあなたを見ている

 心配ばかりかけてごめんね
 淋しい思いさせてごめんね
 そろそろあなたを 次の場所で喜ばせてあげるから

 一粒の種に 一粒の種に
 ちっちゃくていいから
 命の種に必ずなるから
 すぐそばにいるから

 04年1月、末期がん患者の最後の言葉「死にたくない。一粒の種でいいから生きていたいよ」に衝撃を受けた高橋さん。「あなたの思いは私が受け取る、私がその種をまこう、あなたの生きた命の種を」。こうした詩をメールマガジンに掲載したのが始まりだった。高橋さんは、詩を形にしたくて、シンガーソングライターの下地さんに曲を頼む。テーマが重いだけに最初「ぼくにはできない」と断るものの、1年経ったころ、下地さんは大好きだった叔父の突然の死に遭遇、残った者の無念さを知り、詩を「もう一度生まれ変わりたい」という願いに視点を置き、曲を付けたのだった。

 下地さんはライブやテレビ番組で歌い、沖縄で話題になる。CD化の依頼が届き、「歌は自分よりふさわしい人に」と、同じ島出身で介護職の経験のある砂川さんに託した。ちょうど砂川さんは親しかった従兄弟を白血病で亡くしたばかりで、「ニイニイが生きたがっている」そんな思いで運命を感じたという。以来、砂川さんは09年から「作り手と聞き手の懸け橋になりたい」と「スマイル・シード・プロジェクト」という学校や医療施設を訪問するチャリティーコンサートを沖縄からスタートさせ、今では全国を巡り、その数は500カ所を超えた。


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