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社会・全般
2015年6月13日(土)14:34

子宮頸がんワクチン副反応㊥

上京し検査、入院の日々/かさむ医療費と渡航費
治療は何度も振り出しに

 原因不明の健康障害が、子宮頸がんワクチン接種による副反応の可能性があると分かったことで、事態は大きく動き出した。Aさんの長女を含め、宮古島市内での報告例はこれまでに関係医療機関から2例が厚生労働省に報告されているほか、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会には4人が登録している。

■ 治療

 Aさんが被害者連絡会にこれまでの経緯を説明したところ、長女がけいれんしているときの映像が求められた。宮古病院で入院中に、偶然撮影した映像をメールで送ったところ、すぐに上京するように言われた長女は、東京慈恵会医大病院の診察を受けることになった。
 長女の肩を触った同院の医師から「こんな状態なら痛いのは当たり前だね」と言われた。これまでの状況を伝えると「何度も校内で運ばれているのによく学校も辞めずに頑張ってきたね。普通の子だったらとっくに辞めているよ」との声を掛けてくれた。
 しかし、ワクチン接種による副反応としての治療法がない中では、出ている症状に合わせた治療だけが試みられるばかりで、期待していたものにはならなかった。
 医師からアルツハイマー認知症の薬を飲む治療が提案された際もAさんは悩んだが、長女は治療を希望し、東京で賃貸マンションに住みながら治療を試みた。
 しかし、薬を飲み始めると長女は感情が高ぶった状態で朝までしゃべり続け、生活も不規則になり食欲もなくなったことから結局、医師から「やはり合わないかもしれないので止めましょう」と言われ、成果もないままその治療は終了した。
 その後も別の病院で診療を受けたが、期待したような治療法が示されることはなかった。

■ 学校

 高校入学後、体調不良で欠席が多かったが、学校側が「保健室登校」を出席扱いにしてくれたことで、何とか2年生に進級できた。
 さらに、2年生の時も休みがちで出席日数が足りなかったが、ワクチン接種による副反応を校長が理解し県教育委員会と調整して、3年生へも進級できた。
 中学校時代はバスケットボールや学校代表の陸上選手として活躍していながら、高校では何度も校内で倒れ、担架で運ばれ、時には歩くこともできず、手や足を動かすこともままならない状況になった。原因や理由が分からない同級生たちから心ない言葉が掛けられることもあった。
 そんな言葉に涙していた長女だが「お母さん、この子たちは悪くないよ。周囲の大人がちゃんと説明できていないから、それで分からないからそういうことを言ってくるんだよ。知らないことが一番の問題なんだよ」と話した。Aさんは返す言葉を失った。

■ 周囲

 長女の治療は、周囲にも大きな影響を及ぼしている。きょうだいで一番下の二女(6)はまだまだお母さんに甘えたい時期だが、東京での長期間の治療、入院の際は祖母の家での生活を強いられている。そんな生活が続く中でも家族や周囲の団結が強くなっている。
 Aさんは「楽しいことを経験させることも効果があると聞いた私の兄がいろいろなことを企画し、自分の娘のように長女を楽しませている。周囲の優しさには本当に感謝している」と笑顔になる。

■ 費用

 治療や検査に伴う費用は膨大になってきている。今年だけでも、東京での検査や診察、入院、渡航費ですでに200万円を超えた。
 さらに、それ以前の沖縄本島での診察や検査、入院などの費用を含めると、さらに膨らんでくる。
 Aさんは「渡航費、宿泊費、診療費だけではない。実際に東京では、歩く距離が長く、駅なども階段が多く本人の状況的にもタクシーを使うことが多いのでさらに出費が増える」と話した。
 先の見えない治療とかさむ費用に、副反応を訴える子を持つ親らによって今年2月に「副反応被害者を支える会」が発足。自治体や市議会、県議会に支援を求める要請が展開されている。


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