ヤギのブランド化着々/「たらま農産」知念正勝社長
ピンダ島おこし事業、拡大に期待
ヤギ汁、牛汁、牛すじみそ煮込み…。ヤギ肉、牛肉料理が大好物な人が見ると、思わず手が出そうな製品を開発した「たらま農産」の知念正勝社長(48)。2009年に完成した加工施設で試作品を繰り返し、同年本格稼働させた。沖縄在来豚「アグー」の骨汁、ウミヘビ「イラブー汁」のレトルトの真空パック製品も次々と開発した。ヤギ舎には頭のヤギを飼育。さらなる事業展開に意欲的だ。
加工施設は村の「たらまピンダ島おこし事業」を活用した。現在出荷している製品は、ヤギ汁などの真空パック製品に加え、ヤギの生肉、刺身用肉も出荷。本土の沖縄料理店で人気が高いという。
インターネットでの注文販売を通して口コミ客が増えたほか、「ピンダアース」を見物に訪れた島外者が、お土産に買っていくのも定着しているという。
製品は注文に応じて作るが、1日約100パック。真空包装機や回転式蒸気釜、冷凍庫、解凍庫など最新設備で対応している。
150頭が飼育でき、床がすのこ張りのヤギ舎も知念社長の自慢だ。中はふんが床下に落ちるように設計されており、衛生面への配慮や寄生虫感染による死亡事故防止が図られる。沖縄本島から視察に来る人も多いという。
知念社長が期待しているのは簡易と畜場の建設だ。現在、多良間のヤギや豚は宮古本島まで運び、と畜してから送り返してもらっている。
と畜場の建設は経費節減につながる。村は事業導入検討委を発足させ、規模や運営方法などについて検討している。
もう一つはヤギ舎に近い旧空港跡地の再利用。村の計画では滑走路のアスファルトを除去して、採草地とヤギの放牧地として活用したい考えだ。
「たらまピンダ島おこし事業」は、島の特産品として昔から知られるヤギのブランド化を目指す事業。知念さんは「事業が拡大できれば従業員も増やせる。観光にも結び付けられる」と話している。