翼広げ上空を舞う/池間湿原
迷鳥ソデグロヅル
日本では稀な迷鳥とされるソデグロヅル(ツル科)1羽が9日午後、池間湿原の上空を高速度で旋回していた。翼を広げた大きさは畳1枚の長さ180㌢より長い230㌢。大型のツルは、優れた飛翔力で冬空を彩っていた。
宮古野鳥の会(仲地邦博会長)の会員が昨年12月21日、宮古島の上空でソデグロヅルが舞っている姿を確認し、写真に収めた。これが宮古では、初記録。同湿原では8日午後、仲地会長が水の中で休んでいるソデグロヅルを確認した。
ソデグロヅルの翼は袖に例えられ、袖の先が黒いのが名前の由来。翼を閉じている時は、黒い模様は見られない。全身は真っ白で、目の周囲と額は赤い、目の虹彩は黄色。成鳥は全長125㌢。
シベリア中北部で繁殖、中国で越冬するとされる。中国に向かう途中、本土には稀に飛来。沖縄では、過去に数例の飛来記録がある。世界の生息数は約3500羽と推定されている。
同湿原は、県内最大の淡水湿地(約38㌶)。くちばしが長くて太いソデグロヅルは 顔まで水中に入れ、水草のサワスズメノヒエ(イネ科)の根を捕食していた。
雨の中、突然ミサゴ(タカ科)が出現。ソデグロヅルは助走もなく斜めに飛翔し、近くの畑に舞い降りた。
仲地会長は「昨年初確認されたソデグロヅルと池間湿原に姿を見せたソデグロヅルは、同じ個体では」と予想していた。
国は2011年11月1日付で、池間島全域を鳥獣保護区に指定した。