月光の下、勇壮に棒踊り
野原の豊年祭「マストリャー」
上野野原地区に古くから伝わる旧暦8月15日、十五夜の豊年祭「野原のマストリャー」が8日夜、野原公民館広場で行われた。中秋の名月の光の下、男性による勇壮な棒踊り、女性による優雅な舞いを奉納し、五穀豊穣を祈った。
約300年の歴史を持つ同祭は、その年の厳しい人頭税の完納を喜ぶとともに、来る年の豊作を祈願して行われるようになったとされている。
税を納める場所であった「ネ組」、「サル組」、「ウマ組」、「トラ組」の4カ所の「マスムトゥ」から男性たちがかねを鳴らしながら列を作って公民館広場に集まると、午後10時すぎから今年の祭りが始まった。
棒を手にした男性たちは力強い掛け声を出しながら息の合った棒踊りを踊った。女性たちは列をなし、前列はクバ扇を、後列は四つ竹を手に艶やかな舞を見せたほか、最後は全員で輪を作りクイチャーを踊った。
会場には地域住民のほか、祭りを見学に訪れた市民や観光客の姿も多く見られた。
「マストリャー」とは、17~19世紀の人頭税時代の公租に関わる穀物の計量担当者の呼称で、その語源は昔、穀物などを「升取屋」と呼ばれる場所で納めていたことに由来するとされている。同祭は1980年に国選択無形民俗文化財に指定された。