「歓喜の踊り」奉納/伊良部南区でユークイ
司らが五穀豊穣に感謝
伊良部南区の長浜・佐和田・仲地の3集落で20日、伝統の豊年祭「ユークイ(世乞い)」が執り行われた。3集落の住民らは、それぞれの御嶽でそびえ立つ神木群の内側の祭り場でにぎやかに集った。神に仕えるツカサ(司)やユークインマ(世乞い母)、地域の人たちが円陣をつくり歓喜の踊りを奉納した。
参加者らは、旧年中の五穀豊穣(ほうじょう)に感謝し、来期の「ユー」を予祝(よしゅく)した。予祝は、前祝いの意味で、農耕儀式の一種。ユークイの「ユー」は豊かな世、富の世、富貴の世などの総称。
3集落のうち、長浜の住民らは長浜御嶽で行った。神前で集団円舞を繰り広げ、互いに喜びを分かち合った。
交流の場では、住民らがごちそうを持ち寄り、郷土料理に舌鼓を打ちながら歓談した。
長浜自治会の立津義一会長は「旧年中も五穀豊穣に恵まれ豊かな生活ができた。来年もさらなる豊作に恵まれ、長浜部落が益々発展するように願っている」と語った。
宮古製糖伊良部工場の渡久山和男工場長は3カ所の御嶽を訪ね、祝い酒を奉納した。
渡久山工場長は「今期のサトウキビは順調に成長しており、糖度の上昇が楽しみ」と笑顔で話した。
伊良部には7集落があり、この日のユークイを含めて終了した集落は、南区の国仲・長浜・佐和田・仲地の4集落。南区の伊良部集落と北区の池間添・前里添の両集落は諸事情で休止となった。