キャーンで伝統の綱引き/上野宮国で「送り日」行事
旧盆の「送り日」に毎年、上野宮国で行われる伝統行事「宮国の大綱引き」が17日夜、宮国公民館前の通りで盛大に行われた。地域住民らが「東軍」と「西軍」に分かれ、大きな掛け声で全長約100㍍の大綱をこん身の力を込めて引き合った。今年は東軍2勝1敗で、東軍に軍配が上がり、向こう1年の豊作が約束された。
昔は子供たちが綱を編んでいたが、子どもが少なくなった今は、地域の大人たちが中心になって編み上げている。また、綱の材料となる「キャーン(シイノキカズラ)」が年々減少、綱に必要な材料を地域内だけで集めることが難しくなってきている。
午後9時ごろから、始まりを告げるホラガイと鐘の音が集落内に鳴り響くと、地元の人や旧盆で里帰りした人、観光客らが続々と集まり、公民館前の道路は熱気に包まれた。
東西の綱をつなぎ、綱引き前の踊りを舞った後に開始。威勢良い掛け声を上げながら汗だくになって綱を引いた。
宮国自治会の宮國則彦会長は「綱の材料となるキャーンが少なくなってきているが、地域の大切な伝統行事なので、集落総出で集めた」と話した。
宮国の大綱引きは1995年、旧上野村の無形民俗文化財に指定された。豊穣(ほうじょう)を祈願する祭りだが、起源は定かではない。