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行雲流水
2011年8月12日(金)22:00

明和大津波(行雲流水)

 3・11の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)からはや5カ月。復旧・復興をはばむがれきの山、故郷を追われた避難民の状況など、いまだに前進していないようだ


▼大震災の爪痕を目の当たりにした学者の講演会が二つあった。一つは琉球大学同窓会宮古支部主催。講師は琉球大学工学部教授仲座栄三氏。今一つは宮古島市教育委員会主催。講師は千葉工業大学惑星探査研究センター上席研究員後藤和久氏(東北大学客員准教授)

▼2人とも大震災のもたらした状況を報告したのち、宮古・八重山を襲った1771年の「明和大津波」を紹介した。後藤氏は古文書記録に基づく数値計算から、明和大津波の遡上高(津波が陸を駆け上がった高さ)は最大34・8㍍だという

▼奄美・沖縄では過去約2300年は津波石を運ぶほどの巨大津波は発生していない。宮古-八重山諸島の地震は局所的かつ巨大なもので、津波石は宮古・八重山にしかない、と説く

▼元琉球大学教授河名俊男氏らは津波石を調査、500~600年前、1100年前、2000年前、2400年前にも津波があったことを実証。500~600年前は伝説の津波の時代。砂川明芳氏は、古文書の記録を基に伊良部下地島の津波は1560年代と推測した。仲座氏はこの津波は明和大津波より巨大だと推定する

▼後藤氏は宮古-八重山諸島は地震・津波の常襲地帯だという認識が必要だと強調、ハザードマップの活用を促した。時機をとらえた二つの講演会には多くの市民が聴講、関心の高さがうかがわれた。

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