2011年10月24日(月) 23:08

TPP(行雲流水)

 スーザン・ジョージ著『なぜ世界の半分が飢えるのか』(食糧危機の構造)は、低開発国の食糧不足の構造を詳細に検証している。それによると、無数の人々が食糧難に苦しんでいるのは、過剰人口や天候異変などに起因するのではなく、世界の食糧を手中に収め、それを操りながら巨額の利益を得ている多国籍企業(農業会社)こそが元凶である



▼農民はその国の支配層と結託した多国籍企業に土地を売り渡し、農業労働者に転落する。多国籍企業は、安く食糧を生産し、高く売れる先進国向けを優先し、その土地の人々の、食糧不足や飢えは恒常化する


▼いまや食糧は金儲けの源泉、政治経済支配の道具、世界を統御する手段になってしまっており、後進国ばかりでなく先進国にとっても、土地を守り、食糧の自給率を高めることが、国民生活の安全を保障する上で重要な課題になっている


▼ところが、政府はTPP(環太平洋連携協定)に参加する意向のようである。参加すると、関税原則撤廃となり、外国から食糧輸入が増加する。現在日本の食料自給率は約%で先進国では極端に低いが、農水省は、TPPに参加すると%にさらに低下すると試算しており、農業への壊滅的影響が予想される


▼農業だけでなく、市場開放を求めて、日本の国民皆医療保険制度が標的にされることが懸念されている。医療が市場原理によって他国の保険会社の利益追求の場にされてはなるまい


▼この問題は、日本の、安定した社会と独立を守る上での試金石となる。