2012年1月1日(日) 9:00

保育士9人がスキルアップ/発達障害

講座で実践的対処法など学ぶ


障害理解の基礎や具体的、実践的な接し方などを学ぶ保育士たち=5月27日、市役所平良庁舎

障害理解の基礎や具体的、実践的な接し方などを学ぶ保育士たち=5月27日、市役所平良庁舎

 脳機能障害の一つである発達障害。基本的な生活習慣が上手にできなかったり、集団生活に順応できずトラブルを起こしてしまうなど、一見、発育の遅れやしつけの問題などと思われがちな行動が、実はこの障害による症状である可能性がある。症状改善のためには早期の発見、対応が重要となることから宮古島市では多くの乳幼児と接する保育士を対象としたスキルアップ講座を2011年度実施。9人が講習を終え、12月に修了証を受けた。今後はこの9人が習得した知識とスキルを各保育所を通じ宮古全体へ広げていくことが期待される。


 琉球大学の協力を得て開催された「発達障害児支援保育士スキルアップ講座」。参加したのは▽根間玲香(東)▽瑞慶覧定代(北)▽与那覇幸美(馬場)▽砂川ルミ子(上野)▽友利康子(砂川)▽洲鎌はつみ(下地)▽与那覇節子(西城)▽島袋恵子(伊良部)▽中村純子(佐良浜)-の市立保育所の保育士9人。琉球大学教育学部の緒方茂樹教授が講師を務め、同大学で3回、宮古島で4回の計7回の講座を行い、障害理解の基礎から脳の話、地域での支援ネットワーク体制、障害が疑われる子どもとの具体的、実践的な接し方などを学んだ。


 修了者の一人、上野保育所の砂川さんは「個々に即した対応」と「ほめて育てること」の必要性を再認識したと振り返る。「個性があることは分かっていても集団生活をしているとみんな一緒と思ってしまい、何かうまくできない子に『頑張ればできる』などと言ってしまう。できないではなく『ここまではできたね。次はこうしてみようね』というサポートをすべき」との考えを示す。「子どもは注意を繰り返されると自信を失い、それが二次的な障害につながる。ほめられることが自信につながる。ほめる中で『でもこれはだめなことなんだよ』など一つずつ教えていくという方法を今回の講座で学んだ」と語った。


 発達障害児の特徴的な行動の一つに、極端なくらい特定のものに興味を持つ「こだわり」と呼ばれるものがあるが、砂川さんは緒方教授から「こだわりは愛。愛してやまないからこだわる」との話を聞き感動したという。「こだわりは、それをすることで落ち着くので、無理にやめさせようとするとパニックを起こしてしまう。個性に配慮し、簡単な支援の反復を心掛け、集中しやすい環境を作り、集団生活でのルールやマナー、自己コントロールの方法などについて学ぶ機会を増やすことが大切」との認識を示す。


 人間は0~3歳までの間に体も心も社会性も劇的に成長することも学んだ砂川さん。「保育所の子どもは1日の大半を保育所で過ごすので、保育士の役割はとても重要。そういうことを意識した保育の必要性、五感を刺激するような体験をさせることの大切さを再認識した」という。


 今回の講座で、発達障害についての理論や実践的対応法を学んだ9人は今後、各保育所で同僚保育士や園児の保護者らにその成果を伝える役割が求められる。砂川さんは「周りの大人が皆、同じ目線で、同じ方向で、同じ対応ができれば子どもは楽になるし育ちやすいと思う。親や地域の人たちに、そういうことを伝えること、保育所から発信していくことがこれからの課題」との思いを語った。


 発達障害 知的障害を伴わない脳機能の障害で、自閉症や学習障害、注意欠陥・多動性障害、広汎性発達障害などがある。低年齢で症状が発現することが多い。発達障害が疑われる症状(行動)としては▽コミュニケーションがなかなかとれない▽極端なくらい特定のものに興味を持つ▽一つのことに没頭すると話し掛けても聞いていない▽どれだけ教えても生活習慣が身に付かない▽かんしゃくがひどく、なかなか治まらない▽極端に寝付きが悪い-などがある。