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行雲流水
2012年1月23日(月)22:20

「ゴリラ」(行雲流水)

 動物の生態は人を引きつける。特に生きる力や子育てなどには、生き物としての共通性を感じて、親近感を覚える


▼先日、NHKでゴリラの生態が紹介された。左の手足を切断される大けがを負ったゴリラが生き延びるために木登りや餌取りを工夫しているが、採ってきた餌を食べようとしたとき、周辺にいたゴリラたちが周りを囲んで安全に食事ができるよう体を張って守っていた。他の生命を気遣っているのは人間だけではなかったのだ

▼人間の五感やコミュニケーション、社会構造などがどのように進化してきたかを探るために進化の隣人であるゴリラの調査をしてきた世界の第一人者である京都大学・人類進化論研究室長の山極寿一教授は述べている

▼ゴリラは自分の胸を両手でぽんぽん叩くことで、気持ちや立場を伝えあっている。また、遊ぶときなど、力の強いゴリラが弱いゴリラを受け入れて自らの行動を抑制するから、みんなが安心して生活できる

▼猿の場合、相手の目を見ることは威嚇になるが、ゴリラの場合、目と目を合わせることで、相手と自分とのバランスを上手にとって、平和につき合っている

▼山極さんは、進化で人間が獲得してきたものをゴリラの中に見、これからの人間に必要なことは、共感(共に生きる)の感覚と生活だと語る。人間は今「携帯を持った猿」だと揶揄されることもある。目と目を合わせて親しみを伝えあうゴリラの方が上だ、とゴリラたちは、両手で胸をぽんと叩いて威張っているのかもしれない。

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