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行雲流水
2012年5月23日(水)22:35

「メディア用語の追随」(行雲流水)

 体験学習の一環として追いこみ漁に参加するK中学校の3年生。それぞれ小型漁船に分乗してヤビジに向かう。本土から転校してきた女生徒は漁船に乗るのは初めてで乗りこむ要領がつかめず舟べりにしがみついてもたもたしていた


▼見かねた一男性教師は女生徒の腰を押して何とか船に乗せた。が、漁体験を終えた女生徒は帰宅するや「先生にセクハラされた」と告げたようだ。親は血相を変えて学校に乗りこみ校長に鋭く抗議したという

▼現場には体験学習協力の船主たちや他の教師他の多くの生徒たちもいたが目にした教師の行為は不謹慎なものとは映らなかった。それは両手を駆使してがんばっても上手に船に乗りこめない女生徒に対する「支援」であり教師に非はないと受けとめたからである

▼いきさつを冷静に聞けば親もそう理解できたはずなのに娘の「セクハラ」表現に動転したのかメディアが伝える満員電車での「痴漢行為」が重なってきたのか怒りの抗議となった

▼世間にはメディアがくり返す特定用語の概念を先行させ実態について主体的に把握しようとしない風潮がはびこっている。セクハラ・カリスマ・キャリアウーマン・ならず者国家…等どこからか新語が生まれると報道は右にならえとばかりに新語一色となる

▼わが国では新語特に外来語(カタカナ文字)は週に1~2語の割で増えているという。氾濫する新語に追いつかない理解力。かくて読者視聴者は服に体を合わせるがごとくメディア用語の追随「受け売り」という逆転現象に陥ってしまう。

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