2012年11月26日(月) 23:09

「タゴール」(行雲流水)

 アジア人で初めてノーベル文学賞を受賞したインドのタゴールは1916(大正5)年、日本を訪れ、熱狂的に迎えられて、各地で講演を行った。彼は近代日本の歩みに賛嘆を寄せる一方で、日本の行き方が、単に西洋近代化の一面にすぎぬ物質的、侵略的文明のみを模倣して、東洋を裏切る危惧を表明した



▼彼は偏狭なナショナリズムや日本軍国主義の台頭に再三警告を発し、最後の講演を次のように結んだ。「自己中心の文明は隣の国民を焼き尽くすようになる。くれぐれも『人は戦わず』を守るべきだ」。しかし、タゴールの警告は無視され、日本は戦争への道をひた走り、自国民とアジアの人民を戦争の惨禍に追い込んだ


▼その反省に立って日本国憲法は平和の維持と推進を内外に高らかに宣言した。しかし昨今、初心を忘れたような動きが目立つようになった


▼武器禁輸措置の緩和を求める声がある。「原子力基本法」に、わが国の安全保障に資することを目的に、という一文がつけ加えられた。宇宙開発機構の活動目的から、平和目的に限るという規定が削除された。集団的自衛権容認への動きがある


▼尖閣問題について、日中国交回復時に、「現在はこの問題を解決する知恵を私たちは持たないので、解決は次世代に委ねる」との事実上現状維持を認める中国側からの発言があったのに、問題をこじらせてしまった(元衆議院議長・河野洋平談)


▼日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげて憲法の崇高な理想と目的を達成することを誓う(日本国憲法前文)。