2013年7月11日(木) 9:00

「外観の形状」(行雲流水)

 パレットくもじに出向くとエレベーターで最上階まで昇り外階段へと進んで踊り場から眼下の那覇市役所建設の進捗状況を眺めるのが常になっていた。地上からだと防護シートが周りを取り巻いていて中の様子は分からない



▼踊り場からだと工事の進展や次第に整っていく外観の形状もよく見わたせる。工事が進み様変わりしていく新庁舎に関心を寄せたのは県庁所在地の市役所だからではない。関心の対象はただ一つ。この〝外観の形状〟に対してだった


▼狭い敷地にそびえ建つ全面ベタ壁造りの高層建築物は周りに圧迫感や威圧感を与えたりする。この負の影響を緩和し周辺環境との整合性を保つため実績秀でた建築家は外形の形状(景観)に知恵や手腕を発揮すると言う


▼完成した那覇市役所新庁舎の外形は三角形の頂点部分を削り取ったようないわば台形である。正面から眺めると雛を抱えた親鳥のようにどっしりしている。それでも周囲の壁はすべて細かい格子造りで無数にある格子のすき間は優しく視線を吸いこみ重圧感を与えない


▼格子壁はさらに射しこむ陽の光の時間差によって陰と陽の微妙な変化をかもし庁舎を息づかせている。設計士のすぐれた力量の見事な成果である。建築設計士の真価はかくありたい


▼大型公共建築物は周辺環境にとっては一大景観であり単なる箱物ではない。莫大な税金を費やすからには他に誇れる地域の文化的建造物的遺産でなければならない。なれ合いでどこにでもある箱物造りの低次元の悪弊はよりよき景観創生のためにも潔く排除すべきである。(知)