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行雲流水
2013年11月30日(土)9:00

「映画館」(行雲流水)

 映画館で初めて見た映画は「ママいつまでも生きてね」だった。将来はプロ野球選手を夢見る少年が、がんに冒されながらも家族愛に包まれて必死に生きる姿を描いたものだが、最後はタイトルと同じ言葉を残して亡くなってしまう。当時小学3、4年生だったと思うが琉映館で母親に連れられて見た。満席の館内ですすり泣く声とおえつが耳に残っている

▼中学生のころはバスで1時間揺られ、まいなみ劇場で菅原文太主演の「トラック野郎」や梅宮辰夫主演の「不良番長」を見た。階段式の急な客席は独特な雰囲気があり、大人たちに混じってスクリーンにくぎ付けとなった

▼高校生のときにはブルース・リーに夢中になった。土曜日の国映館は学生服姿が目立ち、切符を買うのが遅れると立ち見か、割増料金を払って2階席へ行かなければならなかった

▼あれから30年余。社会人となってからは日々の仕事に追われ、最近映画館に行ったのはいつなのかも思い出せないほど足が遠のいた。全国的にみてもレンタルビデオやDVDの普及などで映画館から客足が遠ざかる状況が続いている

▼特に地方の映画館は深刻だ。映画人口の減少や新設備に追いつけず閉館に追い込まれている。島唯一の映画館「シネマパニック宮古島」も同様だ。ピーク時(2006年)は年間1万8630人だった入場者数も今年は10月までに4231人と過去最低で推移しているという

▼あす12月1日は「映画の日」。久々に映画館に足を運ぼうと思い、新聞を開くと12月6日まで臨時休館という。映画館の再建を図るための充電期間と聞いてほっとしたが、忘れかけていた映画館の存在が大きく感じられた。(地)

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